実用書

MBA受験生は必読――ふろむだ「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」

非常に面白かった。欧州のトップスクールに留学していると、キャンパスビジット対応で「MBAに来ると、どんないいことがあるのか?」と聞かれることが多い。「MBAでどれだけスキルが磨けるのか? そもそも、どれだけ優秀な人ならMBAに来れるのか?」といった…

教育関係者は必読――新井紀子「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」

機械学習(世間でよくいわれるAI技術)は、文章の意味を理解することなく、統計的に「だいたいあってる」答え(パターン)を導き出しているだけのアルゴリズム。深層学習でその精度が高くなったので話題になっているにすぎない。 しかし、そんな程度の機械学…

MBA留学する前に読んでおきたい5冊

MBAは何かを学ぶ場というよりも、知識も経験もある社会人が、お題に対して自らの仮説を提示したり、クラスメイトの仮説をクリティカルに検証する場なので、丸腰で臨むと死ねます。なので、講義では当たり前すぎてスルーされるけど、やっぱりこれは知っておい…

何食ったらこんな偉大な思想家が生まれるのか徹底解説――J.S.ミル「ミル自伝」

個人的に尊敬する思想家としてはハイエク、ニーチェあたりを筆頭に、ヒューム、ノージック、フーコー、アドラーあたりを挙げるわけなんですが、やはりミルもすごいですよね。LiberalでDemocraticな社会の源流というか、今の当たり前がまだ当たり前でなかった…

とくに買いたいモノはないけど、とりあえず5000兆円欲しい人のための経済学

Twitterで5000兆円欲しい!というネタが流行っていたが、その金で何を買いたいか誰も話しておらず、みんな夢がないなあ、と思った。とはいえ、とりあえずお金が欲しい、将来が不安だからいっぱい欲しい、できれば5000兆円欲しい!という気持ちはよくわかる。…

ただのポスドク残酷日記じゃない。もっと恐ろしいものの片鱗を(以下略)――前野ウルド浩太郎「バッタを倒しにアフリカへ」

面白かったです。いまだにバッタが大量発生して穀物被害が生じているということも知らなかったし、ファーブル昆虫記にはまって昆虫学者を目指していたら人生が修羅になったというポスドク残酷日記としても学びがあります。博士号とってもなかなか安定しない…

スペース・コロニーとか心底どうでもいい人でも読める倫理学――稲葉振一郎「宇宙倫理学入門」

正直、宇宙にはあんまり興味がない(ついでに言うとガンダムも観たことない)。マイクロ波送電による宇宙太陽光発電の実用化(「100年予測」参照)や、さらにその先の軌道エレベーター実用化ぐらいになってくると、新たな産業としての興味も沸いてこようが、…

人間を超えるAIは可能だとして、その時を見越して、人間は何ができるか――小林雅一「AIの衝撃」

人間と同じように物や概念を認識し、自律的に思考する人工知能が、もうすぐできるのではないか、という話。僕にとってこの話が衝撃だったのは、人間の脳の分子レベルのリバースエンジニアリングにまだ手つかずの状況なのに、それでも人工知能はすでに飛躍的…

マインドフルネス認知療法―うつを予防する新しいアプローチ / Z・V・シーガル等

マインドフルネスとは、「意図的に、今この瞬間に、価値判断をすることなしに注意を向けること」と定義されており、精神医療の技法のひとつで最近盛り上がっているものらしい。何やら、うつに効果的であり、名だたる企業の研修にも採用されているというもの…

仮想通貨革命 / 野口悠紀雄

面白かったので自分用のメモ。 仮想通貨の走りであるビットコインの何が画期的かというと、中央銀行が管理しなくても、二重譲渡(手違いや故意による二重払い)を防止できる、ということにある。普通の通貨の決済では、現金をそのまま渡したり、債務者と債権…

無政府状態から契約の束として政府が誕生する瞬間――高野秀行「謎の独立国家ソマリランド」

最高に面白い、の一言に尽きる。笑って読める「未開の地見聞録」でありながら、政治学の文献としても読める。なぜソマリアでは内戦が続いているのか、そしてソマリア北部・ソマリランド内では、なぜ内戦が終結して武装解除ができたのか、しかも国連やアメリ…

生物多様性を守る最大の根拠――マーク・プロトキン「メディシン・クエスト」

生物多様性が大事だという人は、大体にして根拠が弱い。自然は無条件にあるがままであるべきだという信念や、そんなこというてもホッキョグマかわいいやん守ってあげたいやん……という人情では、開発がもたらす経済的利益を覆す根拠足りえない。本書が主張す…

イスラーム国の衝撃 / 池内恵

知らないことだらけだったので、読んでみてよかった。過激派組織ISがそもそもどこから来たのかとか、アルカイダとの関係はどうだったのかといった経緯が非常にすっきりする。また、イラク・シリアでは政府の軍事力・警察力の及ばない政治的な空白地帯ができ…

ユーロ破綻 / 竹森俊平

面白かったので自分用のメモ。 ユーロ圏内では、産業の競争力の強いドイツ商品が、競争力の低い南欧の商品を駆逐するプロセスにある。もし仮に共通通貨ユーロを使用していなかったら、競争力の低い南欧は、経常収支の赤字→南欧の通貨に対する決済資金需要の…

自壊する帝国 / 佐藤優

佐藤優の本は「国家の罠」と本書ぐらい読んでおけばよい(あとは総じて駄作である)、という説があるが、ともかく、本書は外交官の仕事に興味があれば読んで損はないと言える内容だった。ノンキャリアの外交官が、どのようにのし上がっていくかという視点で…

君に友だちはいらない / 瀧本哲史

自己啓発書と見せかけて市場経済の厳しさを延々と説く「僕は君たちに武器を配りたい」が大変面白かったので、本書も読んでみたが、あまり参考にならなかった。本書は、色々なコミュニティにコミットして弱いつながりを維持し、そうした人脈を使いながら起業…

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 / 米原万里

社会主義国家といえばどんなイメージをあなたは持つだろうか。オーウェル「1984年」だったり、ハイエク「隷従への道」だったりするかもしれないが、どこか風刺的な、あるいは理論的なイメージが多いのではないだろうか。本書にあるのは、もっと個人的な、手…

100年予測 / ジョージ・フリードマン

未来予測というのは外れることが多すぎるので、読む価値が無いと思っていたが、なかなか面白かった。 未来を予測するためには、過去を適切に評価し、そこから将来も起こり得そうなエッセンスを抽出しないといけない。本書のこの部分は実に説得力がある。例え…

通貨・決済システムと金融危機 / 黒田巖

金融政策がどのように経済主体に影響を与えるのかを、中央銀行・市中金融機関のそれぞれのバランスシートの動きに照らし合わせながら解説する本。マンキューの学部向けマクロ経済学の本もいいが、こういう実務寄りの本も読んでおくと、イメージがつかみやす…

失敗の本質 / 戸部良一ほか

表立って主張したりせずに、「阿吽の呼吸でわかってくださいよ……」ってのが、どこの組織でも本当に多いですが、そうした空気というのは、戦前からある根深いものなのだと驚嘆できます。旧日本軍と、現在の会社組織があまり変わっていないことを実感するため…

マネジメント1 務め、責任、実践 / ピーター・ドラッカー

ブームが一通り過ぎ去った段階でおもむろにドラッカーの主著を読み始めたのですが、正直、よくわからんですな。4分冊の1冊目しか読んでいませんが、続きを読む気力はありません。自社の目標を決めろ、事業を定義しろ、成果を上げろ、上げられなかったのなら…

新・電波利権ver.2 / 池田信夫

業界を飛び出して独立した人が古巣の膿を洗いざらい吐き出す光景は、常に痛快だ。本書は元NHK職員が放送・通信業界が、いかに規制に守られて非効率的なことになっているかを暴露した本だ。電波というのは公共の土地みたいなもので、周波数というのはその番地…

メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故 / 大鹿靖明

原発のコストは安いのか高いのか、再生可能エネルギーとしてこれから競争力を持つのは太陽光なのかどうか、そういった基本的な事実の認定にさえ、社会的なコンセンサスはできていない。では、どうすればいいのか。ハイエクなら、「市場に発見してもらう」と…

銃・病原菌・鉄 / ジャレド・ダイアモンド

なぜインカ帝国はスペインを征服できなかったのか。この疑問に答えるために、人類の環境を俯瞰し、世界史を紐解いていくのが本書。最終的な要因は、なんと大陸の形に帰される。南北に長いアメリカ大陸と違い、東西に長いユーラシア大陸は、同じ気候が続く地…

未完のファシズム / 片山杜秀

日本はなぜ負けると分かっていたのに、あんな戦争を始めたのか? ―――という問いには決まってこう答えられる。ファシズムのせいだ。一部の権力者に権力が集中する体制だったから、あのような無謀な動員が可能だったのだ、と。それに対して、本書は、ファシズ…

完全独習統計学入門 / 小島寛之

今までずっと逃げてきた統計学だけど、もはや進退きわまって手を付けざるを得なくなった、が、ド文系の自分になんか所詮無理ではないか、という絶望の淵に立たされている人にオススメの一冊。僕もこれでようやく克服できました。入門中の入門であり、巻末の…

動物化するポストモダン / 東浩紀

小説を読みすぎて、もはやいかなる物語が自分を真に感動させてくれるのかわからなくなってしまい、ここはひとつ批評の本でも読んでみようかな、と思った。僕にとって東浩紀はグレッグ・イーガンを褒めたという点で評価に値する人であり、加えて「クォンタム…

社会を擬人化するな――ロバート・ノージック「アナーキー・国家・ユートピア」

「もし国家が存在しなかったなら、国家を発明する必要があっただろうか。国家は必要か。国家は発明されねばならないか」。 この、過激な問いかけから本書はスタートする。 まず国家の役割として治安の維持・防衛があげられる。しかし、こういったサービスの…

ブラック・スワン―不確実性とリスクの本質 / ナシーム・ニコラス・タレブ

経済学を批判してドヤ顔したいなら、終わコンのマルクスなんか読むよりもタレブを読んだほうはずっとよい。なにせタレブの射程は、経済学などというマイナーな学問領域に留まらず、経験科学全般に及んでいるからだ。 それは、帰納の問題である。僕たちが真理…

監獄の誕生―監視と処罰 / ミシェル・フーコー

「自分の頭頂部が天から吊り上げられているようイメージしてください」。 社会人がマナー研修でよく聞く言葉だろう。姿勢をよくするためには、背筋を伸ばし、筋力を使って胸を張り、顎を引かなくてならない。そのような一連の制御を自然にこなすために、かく…