実用書

想像力を鍛える20年代最強のビジネス書──冬木糸一「「これから何が起こるのか」を知るための教養 SF超入門」がすごい

2023年は生成AIの普及により、人類に残された仕事が何になるのか心配になるくらい激動の年でした。2024年も、戦争、気候変動、核融合、宇宙開発、BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)と様々なニュースが飛び交い、これからどうなるのかまったく予想が…

MBA受験生は必読――ふろむだ「人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている」

人生は、運よりも実力よりも「勘違いさせる力」で決まっている作者:ふろむだダイヤモンド社Amazon非常に面白かった。欧州のトップスクールに留学していると、キャンパスビジット対応で「MBAに来ると、どんないいことがあるのか?」と聞かれることが多い。「M…

教育関係者は必読――新井紀子「AI vs. 教科書が読めない子どもたち」

AI vs. 教科書が読めない子どもたち作者:新井 紀子東洋経済新報社Amazon機械学習(世間でよくいわれるAI技術)は、文章の意味を理解することなく、統計的に「だいたいあってる」答え(パターン)を導き出しているだけのアルゴリズム。深層学習でその精度が高…

MBA留学する前に読んでおきたい5冊

MBAは何かを学ぶ場というよりも、知識も経験もある社会人が、お題に対して自らの仮説を提示したり、クラスメイトの仮説をクリティカルに検証する場なので、丸腰で臨むと死ねます。なので、講義では当たり前すぎてスルーされるけど、やっぱりこれは知っておい…

何食ったらこんな偉大な思想家が生まれるのか徹底解説――J.S.ミル「ミル自伝」

ミル自伝 新装版みすず書房Amazon個人的に尊敬する思想家としてはハイエク、ニーチェあたりを筆頭に、ヒューム、ノージック、フーコー、アドラーあたりを挙げるわけなんですが、やはりミルもすごいですよね。LiberalでDemocraticな社会の源流というか、今の…

とくに買いたいモノはないけど、とりあえず5000兆円欲しい人のための経済学

Twitterで5000兆円欲しい!というネタが流行っていたが、その金で何を買いたいか誰も話しておらず、みんな夢がないなあ、と思った。とはいえ、とりあえずお金が欲しい、将来が不安だからいっぱい欲しい、できれば5000兆円欲しい!という気持ちはよくわかる。…

ただのポスドク残酷日記じゃない。もっと恐ろしいものの片鱗を(以下略)――前野ウルド浩太郎「バッタを倒しにアフリカへ」

バッタを倒しにアフリカへ【虫画像抜き版】 (光文社新書)作者:前野 ウルド 浩太郎光文社Amazon面白かったです。いまだにバッタが大量発生して穀物被害が生じているということも知らなかったし、ファーブル昆虫記にはまって昆虫学者を目指していたら人生が修…

スペース・コロニーとか心底どうでもいい人でも読める倫理学――稲葉振一郎「宇宙倫理学入門」

宇宙倫理学入門作者:稲葉振一郎ナカニシヤ出版Amazon正直、宇宙にはあんまり興味がない(ついでに言うとガンダムも観たことない)。マイクロ波送電による宇宙太陽光発電の実用化(「100年予測」参照)や、さらにその先の軌道エレベーター実用化ぐらいになっ…

人間を超えるAIは可能だとして、その時を見越して、人間は何ができるか――小林雅一「AIの衝撃」

AIの衝撃 人工知能は人類の敵か (講談社現代新書)作者:小林雅一講談社Amazon人間と同じように物や概念を認識し、自律的に思考する人工知能が、もうすぐできるのではないか、という話。僕にとってこの話が衝撃だったのは、人間の脳の分子レベルのリバースエ…

マインドフルネス認知療法―うつを予防する新しいアプローチ / Z・V・シーガル等

マインドフルネス認知療法:うつを予防する新しいアプローチ作者:ジンデル・シーガル,マーク・ウィリアムズ,ジョン・ティーズデール北大路書房Amazonマインドフルネスとは、「意図的に、今この瞬間に、価値判断をすることなしに注意を向けること」と定義され…

仮想通貨革命 / 野口悠紀雄

仮想通貨革命作者:野口 悠紀雄ダイヤモンド社Amazon面白かったので自分用のメモ。 仮想通貨の走りであるビットコインの何が画期的かというと、中央銀行が管理しなくても、二重譲渡(手違いや故意による二重払い)を防止できる、ということにある。普通の通貨…

無政府状態から契約の束として政府が誕生する瞬間――高野秀行「謎の独立国家ソマリランド」

謎の独立国家ソマリランド作者:高野秀行本の雑誌社Amazon最高に面白い、の一言に尽きる。笑って読める「未開の地見聞録」でありながら、政治学の文献としても読める。なぜソマリアでは内戦が続いているのか、そしてソマリア北部・ソマリランド内では、なぜ内…

生物多様性を守る最大の根拠――マーク・プロトキン「メディシン・クエスト」

メディシン・クエスト: 新薬発見のあくなき探究作者:マーク プロトキン築地書館Amazon生物多様性が大事だという人は、大体にして根拠が弱い。自然は無条件にあるがままであるべきだという信念や、そんなこというてもホッキョグマかわいいやん守ってあげたい…

イスラーム国の衝撃 / 池内恵

イスラーム国の衝撃 (文春新書)作者:池内 恵文藝春秋Amazon知らないことだらけだったので、読んでみてよかった。過激派組織ISがそもそもどこから来たのかとか、アルカイダとの関係はどうだったのかといった経緯が非常にすっきりする。また、イラク・シリアで…

ユーロ破綻 / 竹森俊平

ユーロ破綻 そしてドイツだけが残った (日本経済新聞出版)作者:竹森俊平日経BPAmazon面白かったので自分用のメモ。 ユーロ圏内では、産業の競争力の強いドイツ商品が、競争力の低い南欧の商品を駆逐するプロセスにある。もし仮に共通通貨ユーロを使用してい…

自壊する帝国 / 佐藤優

自壊する帝国(新潮文庫)作者:佐藤 優新潮社Amazon佐藤優の本は「国家の罠」と本書ぐらい読んでおけばよい(あとは総じて駄作である)、という説があるが、ともかく、本書は外交官の仕事に興味があれば読んで損はないと言える内容だった。ノンキャリアの外…

君に友だちはいらない / 瀧本哲史

君に友だちはいらない作者:瀧本哲史講談社Amazon自己啓発書と見せかけて市場経済の厳しさを延々と説く「僕は君たちに武器を配りたい」が大変面白かったので、本書も読んでみたが、あまり参考にならなかった。本書は、色々なコミュニティにコミットして弱いつ…

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 / 米原万里

嘘つきアーニャの真っ赤な真実 (角川文庫)作者:米原 万里KADOKAWAAmazon社会主義国家といえばどんなイメージをあなたは持つだろうか。オーウェル「1984年」だったり、ハイエク「隷従への道」だったりするかもしれないが、どこか風刺的な、あるいは理論的なイ…

100年予測 / ジョージ・フリードマン

100年予測作者:ジョージ フリードマン早川書房Amazon未来予測というのは外れることが多すぎるので、読む価値が無いと思っていたが、なかなか面白かった。 未来を予測するためには、過去を適切に評価し、そこから将来も起こり得そうなエッセンスを抽出しない…

通貨・決済システムと金融危機 / 黒田巖

通貨・決済システムと金融危機 改訂版作者:黒田 巖中央大学出版部Amazon金融政策がどのように経済主体に影響を与えるのかを、中央銀行・市中金融機関のそれぞれのバランスシートの動きに照らし合わせながら解説する本。マンキューの学部向けマクロ経済学の本…

失敗の本質 / 戸部良一ほか

失敗の本質作者:戸部 良一,寺本 義也,鎌田 伸一,杉之尾 孝生,村井 友秀,野中 郁次郎ダイヤモンド社Amazon表立って主張したりせずに、「阿吽の呼吸でわかってくださいよ……」ってのが、どこの組織でも本当に多いですが、そうした空気というのは、戦前からある…

マネジメント1 務め、責任、実践 / ピーター・ドラッカー

マネジメント1 務め、責任、実践 (日経BPクラシックス)作者:ピーター・ドラッカー日経BPAmazonブームが一通り過ぎ去った段階でおもむろにドラッカーの主著を読み始めたのですが、正直、よくわからんですな。4分冊の1冊目しか読んでいませんが、続きを読む気…

新・電波利権ver.2 / 池田信夫

新・電波利権ver.2 (アゴラPODシリーズ)作者:池田 信夫アゴラ出版局Amazon業界を飛び出して独立した人が古巣の膿を洗いざらい吐き出す光景は、常に痛快だ。本書は元NHK職員が放送・通信業界が、いかに規制に守られて非効率的なことになっているかを暴露した…

メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故 / 大鹿靖明

メルトダウン ドキュメント福島第一原発事故 (講談社文庫 お 116-1)作者:大鹿 靖明講談社Amazon原発のコストは安いのか高いのか、再生可能エネルギーとしてこれから競争力を持つのは太陽光なのかどうか、そういった基本的な事実の認定にさえ、社会的なコンセ…

銃・病原菌・鉄 / ジャレド・ダイアモンド

銃・病原菌・鉄 上巻作者:ジャレド ダイアモンド草思社Amazonなぜインカ帝国はスペインを征服できなかったのか。この疑問に答えるために、人類の環境を俯瞰し、世界史を紐解いていくのが本書。最終的な要因は、なんと大陸の形に帰される。南北に長いアメリカ…

未完のファシズム / 片山杜秀

未完のファシズム―「持たざる国」日本の運命―(新潮選書)作者:片山杜秀新潮社Amazon日本はなぜ負けると分かっていたのに、あんな戦争を始めたのか? ―――という問いには決まってこう答えられる。ファシズムのせいだ。一部の権力者に権力が集中する体制だった…

完全独習統計学入門 / 小島寛之

完全独習 統計学入門作者:小島 寛之ダイヤモンド社Amazon今までずっと逃げてきた統計学だけど、もはや進退きわまって手を付けざるを得なくなった、が、ド文系の自分になんか所詮無理ではないか、という絶望の淵に立たされている人にオススメの一冊。僕もこれ…

動物化するポストモダン / 東浩紀

動物化するポストモダン オタクから見た日本社会 (講談社現代新書)作者:東浩紀講談社Amazon小説を読みすぎて、もはやいかなる物語が自分を真に感動させてくれるのかわからなくなってしまい、ここはひとつ批評の本でも読んでみようかな、と思った。僕にとって…

社会を擬人化するな――ロバート・ノージック「アナーキー・国家・ユートピア」

アナ-キ-・国家・ユ-トピア: 国家の正当性とその限界作者:ロバート ノージック木鐸社Amazon「もし国家が存在しなかったなら、国家を発明する必要があっただろうか。国家は必要か。国家は発明されねばならないか」。 この、過激な問いかけから本書はスタート…

ブラック・スワン―不確実性とリスクの本質 / ナシーム・ニコラス・タレブ

ブラック・スワン[上]―不確実性とリスクの本質作者:ナシーム・ニコラス・タレブダイヤモンド社Amazon経済学を批判してドヤ顔したいなら、終わコンのマルクスなんか読むよりもタレブを読んだほうはずっとよい。なにせタレブの射程は、経済学などというマイナ…