実用書
「自分の頭頂部が天から吊り上げられているようイメージしてください」。 社会人がマナー研修でよく聞く言葉だろう。姿勢をよくするためには、背筋を伸ばし、筋力を使って胸を張り、顎を引かなくてならない。そのような一連の制御を自然にこなすために、かく…
意外に思われるかもしれないが、リバタリアンの中には奴隷契約の合法化を主張するものもいる。真に個人の自己決定権を尊重するのならば、「奴隷として生きる自由」ですらも、保障しなくてはいけないのだろう。 彼は、奴隷になることを選ばずに、自給自足の原…
必読。入社する前に絶対に読もうと思っていた本だが、もっと早く読んでおけばよかったと後悔した。以前「高学歴就活生が読むべき4冊」という記事を書いたが、正直これ一冊読めば十分じゃないかっていうくらい情報価値がある。本書の主張は簡明で、それは「コ…
効率よく貯蓄するための口座管理や、持ち家or賃貸どちらがいいのか、など社会人にニーズの高い情報がコンパクトにまとまっています。 たとえば口座管理なら、メガバンクの口座ではなくネット銀行をメイン口座にすることがオススメされています。ATMからの出…
人生を設計すると聞くと、なにやら自己啓発本的な、いかにして成功するかという話かと思いますが、本書は人生とはそのようにポジティヴに語るものではないと主張します。むしろ、どうしたら確実に損をするかを把握し、失敗を回避することをめざすことしか、…
2001年9月11日、無辜のアメリカ国民の一部を殺さなければならないと決定した者たちがいた。 中東における政治の不安定さを、一部のムスリムは「世俗的な為政者ゆえに腐敗は起こる。よってイスラム教の原点に立ち返り、清廉な政治を行わなければならない」と…
「戦争は、人びとがほかの人びとを殺すときに始まるのではない。報復として自分が殺されるリスクを冒す時点で始まるのだ」 *1 では、ラスベガス近郊にいながら遠隔操作でアフガン上空を小型飛行機で索敵する兵士は、はたして戦争に参加しているのだろうか? …
人生を左右する一冊というものがある。 僕にとって高校生のときに読んだこの本が、経済学や政治思想にハマるきっかけだった。本書では、社会的に不道徳だとされている人間こそが、ヒーローだと主張する。なぜなら、彼ら彼女らこそが不道徳という汚名を引き受…
経済学的に最も正しい投資法がいかにして発見されたかを、ノーベル賞経済学者たちのドラマから描いた本。読みやすい本ではないので、多くの投資家にとっては橘玲「臆病者のための株入門」で十分だし、もっと詳しく知りたい人にとってもバートン・マルキール「…
株を始めたいんだけど、いっぱい本がありすぎてどれ読めばいいかわかんないという人がいたら、問答無用でこの本を押しつけます。それほどの名著。 あまりにも名著すぎて人にオススメするのがもったいないくらいです。おそらく金融機関に勤めている人はこの本…
「人口が減少し、市場が縮小する中、日本でしか食っていけない人材はこれからオワコンになる。だから海外でも働ける人材になった方がいいよ」という常識的な内容の本です。面白かったところと言えば柳井さんが大学教育を否定し、実際に大学1年生に内定を出す…
金融と経済のグローバル化を語る上で欠かせないのがタックスヘイヴンとオフショア取引(国外取引)である。現在7兆ドルもの資産がタックスへイヴン45カ国に存在していると言われている。また現在では国際金融の少なくとも半分がタックスヘイヴンを通しており…
コーポレート・ガバナンスの世界ではとにかく株主主権は人気のある概念だ。グリーン・メーラーを助長すると批判されたブルドックソース事件判決も、結局は「株主が決めたのだからよい」という点で正当化がなされている。 しかし、日本において株主主権を貫く…
グローバル証券法ゼミの発表で一番役に立った参考文献。専門書なので読んでもまったく面白くはないが、各国の証券法が網羅的に比較されていて便利。 興味を引いたのは、アメリカのTOB規制においては公開買取期間は無限に延長できるが、これはTOB規制がM&A規…
あなたなら500億ドルを渡されて、これで世界を救えと言われたら何をしますか? 世界をよくする方法はたくさんあるでしょう。温暖化対策、貧困対策、平和推進……。しかしお金は有限です。どうせなら最もコストパフォーマンスのよいやり方で、世界を救うべきで…
ソーカル事件というのがあってだな。これはデリダとかいわゆるフランス現代思想の人たちが科学用語を誤用して、わけのわからん謎理論を語るのにブチ切れた本職の科学者が、まったく無意味な、けれどそれっぽい論文をつくって、しかもポストモダンの権威ある…
マクロ経済学の入門としても、リフレの解説としてもわかりやすい良書です。著者の本としては「経済成長って何で必要なんだろう?」が取っつきやすいですが、次のステップアップにぴったりじゃないでしょうか。リフレ政策の是非についてはいまだ判断できませ…
日本人は他国との比較でしか物を語れない、軍事や国際関係について語るときも常に被害者のロジックで語る、つまり世界の中心に自分を置かない民族だというのが本書の主張です。とくに面白かったのは、第二次大戦の敗戦後「私は開戦方針を主導した」と名乗る…
意外と面白かった。結局、独我論者にたいして「はいはいワロスワロス」ってたしなめているだけの、壮大なただし書きのようなものであって、一般ぴーぷるが読んでも「だからどうした」という感じではある。 独我論者とはどういう連中か。彼は、自分だけがこの…
心理学の実験ではたいていある種のゲームの中で人間がどのようにふるまうかが着目される。本書ではその逆で、意識的になにか物事を考えるような場合ではなく、日常生活の中で人間がどのように無意識的にふるまってしまうかに着目している。たとえば、どっち…
実話をもとにした企業変革ドラマということでなかなか面白いです。冷静に成長戦略を考えるだけじゃなく、現場の社員をいかに納得させ動かすかという、社内政治にもフォーカスが当てられており、この泥臭い部分が非常にリアリティがあります。こういう仕事が…
経済学者としての実績はよくわかりませんが、ハイエクの解説者としては抜群だと思います。非常にわかりやすい。とくにハイエク問題についての解説はよかったです。この問題は、ハイエクが伝統や自生的秩序を支持しているのに、人々の自発的な運動によって成…
自由には2種類ある。libertyとfreedomだ。フランス革命はlibertyの思想からきたものだが、これは人間は自然の状態こそが本性であり、それが現在の悪しき制度によって歪められてしまっているので、体制を転覆し、人間を「解放(liberation)」しなくてはいけ…
未来の古典。法学部生なら全員読むに値する。古典的自由主義の文脈では、自由への脅威は政府がつくる法(law)だとされる。法は、たとえば「未成年が喫煙をすると罰則がある」という形で人々を脅している。 しかし、自由の敵は政府だけではない。コミュニテ…
要約はかなり適当。原文はこちら。 1 大学という法人の所有者は誰か 1.1 大学教授という立場 大学は法人であり、ひとつの経済主体であります。ですから通常の営利企業と同じように何らかの財の売り手であるといえます。そこで以下では大学がどんな財を提供し…
総額330兆円、今後50年間にわたり年間8.1兆円。老朽化した社会資本の更新投資額の試算である。ちょっと眩暈のする数字だが、事実である。インフラというものは一度作ったら半永久的に使えるように思われがちだが、ふつうの建物と同じく老朽化するし、放置し…
障害を問い直す - hiroyukikojimaの日記で紹介されて読んでみた。障害とは社会的なものであるという話が衝撃的だった。たとえば階段の一段一段が2メートルだったら、社会の大半の人は障害者になる。一部の筋力に恵まれた人だけが健常者ということになろう。…
政府の復興対策本部によれば、復興資金は原発事故の損害賠償を除いても23兆円に及ぶ。 これほどの資金をファイナンスするためには政府の徴税権に基づいた金融が不可欠だろう。つまり、増税である。すでに「寄付」という名で自発的な所得移転は行われており、…
統計学の教科書が難しすぎて挫折したド文系の僕ですが、この本は理解できました。「小泉改革で格差は拡大したのか」「本を読む人は減ったのか」といった社会問題を議論するのには、やはりデータを見なければ話になりません。本書はどのようにデータを見れば…
製薬業界の業界研究本としては抜群の出来です。この業界は高価格・高利益の新薬と、低価格・低利益のジェネリック医薬品(GE)の2つがありまして、どちらに特化することで経営戦略のおおまかな軸ができています。従来の分子化合物をつくっていくやり方で創薬…