マンガ

「宝石の国」が面白い

基本的に、完結していないマンガを紹介しても、皆さん忙しいのであんまり読んでくれないし、そらそやろな、という気もするので憚られるわけなのですが、それでも、それでも言わせてほしい。「宝石の国」が素晴らしい、と。もともと、絵柄も、間の取り方も、…

性のない国、性のない結婚――「宝石の国」・「逃げるは恥だが役に立つ」

性別が無くなったら、そのとき人と人との関係性はどのようになっているのだろう……。そのような思考実験として、「宝石の国」を読んでみる。登場するキャラは、人間のようで、でも基本は鉱物なので、性別がない。しかも触れたら割れるのでスキンシップも危険…

京極夏彦をやりたくて清涼院流水となったバカミス――「うみねこのなく頃に」

孤島の密室で連続殺人事件が起きる。それも人間には絶対に不可能に思える方法で。人間にできないなら、魔女の仕業。魔女は”い”る。 いやいや、んなわけねーだろ、こんなの全部人間のトリックで説明してやるぜー、魔女の不在を証明してやる! ……という、魔女…

イエスタデイをうたって

かなり好きな作品。マンガの絵というよりも、美大生が書いたという方がしっくりくるような、素晴らしい絵。ストーリーは恋愛を中心にしてはいますが、けっこうぐだぐだなんで、どうでもいいです。4巻くらいまでは最高なんですが、「めぞん一刻」の管理人さん…

グロテスクなんだけど読み始めたら止まらない系のマンガ5選

グロいの苦手なんですけども、たまに面白いのもあるから困る。 メイドインアビス ぶっちゃけ、これを紹介したくてこの記事を書きました。「わたしが知らないスゴ本は、きっとあなたが読んでいる」で紹介されていたので読んでみたのですが、噂にたがわずスゴ…

竜のかわいい七つの子

ファンタジーの短編集というだけでも、かなり希少価値があり、その中でも、本作は、それぞれの作品ごとにタッチを書き分けているなど、ものすごい趣向をこらした部類に入る。とくに「金なし白祿」は傑作で思わず涙がこぼれました。両瞳をいれれば描いた生物…

聲の形

あー、本当に面白いなあ。今連載中の作品の中で一番の面白さかもしれない。耳が聞こえない障害を持つ女の子を、小学校時代に笑いの種にしていじめてしまったクソガキが、やりすぎだということでバッシングを食らい、はしごを外されていじめの首謀者として今…

ちーちゃんはちょっと足りない

どうして私には何もないんだろう……? 常に周りと自分を比べずにはいられない、中学校という閉鎖的な環境で、上述の問いは発せられる。友達は家族旅行で海外に行ったり、恋人がいたり、テストの成績が良かったり、毎朝気軽にジュースを買えたり、恵まれている…

ぼくらのよあけ

本当にいいマンガだなあ。小学生が夏休みに異星人の送った探査機とファーストコンタクト、というあらすじだけ聞くと面白いのかどうかわからないけど、小学生ならではの、地に足のついた悩みがよくかけていて、読んでいてノスタルジーが止まりませんでした。…

バイオメガ

初期に比べると絵が洗練された分、迫力が落ちた気がする。最新作の「シドニアの騎士」とほぼ同じです。話の展開はいつものテクノロジーが発達した結果のディストピアです。見どころは、地球がテラフォーミングってレベルじゃないくらいに改造されてしまうと…

ソラニン

大学生バンドが、そのまま夢を突っ走っちゃうか、無難に就活するかで揺さぶられるという話。あんまりロックじゃない。同じ作者なら「おざなり君」のほうがよっぽどロック。でもまあ、この日常の何気ない空気がいいんですよ。現実というラスボスと、それに抗…

おざなり君

「おやすみプンプン」みたいな傑作を期待していたら裏切られた。うすた京介がたまにやるような、癖のある絵のギャグ漫画だった。元ロックバンドのおっさんが今ではしがないサラリーマンになっていることに幻滅した元ファンが、あらゆる手を尽くしておっさん…

ナニワ金融道

法学者の加藤貴仁さんが「ナニワ金融道」は手形小切手法のいい参考書だよといっていて、「ぬかしおる」とか思っていたら、マジで勉強になって困る。ありがとう、いい教材です。

人類最高の表現力で画かれたバレエのマンガ。 およそ紙の上に画かれた表現の中で、これほど読者の鳥肌を立たせ、圧倒させるものは無い。ストーリーがいいとか画力が高いとか、そういう個々の次元ならば、この作品を超えるものもあるだろう。ただ総合的な演出…

闇金ウシジマくん

村上龍よりも村上龍らしい、残酷で、それでいて精緻な作品。たとえば村上龍「ライン」には寂しさをかかえた人物がよく出てくるんですが、そこにおける寂しさは悲劇としては描写されていません。悲劇ならば、まだ陶酔するという逃げ場があるのですが、そんな…

ベルセルク

祈るな! 祈れば手が塞がる! というわけでベルセルクです。これは主人公のガッツが戦闘中に祈ろうとしたファルネーゼに向かってぶちぎれたときの言葉なんですが、このマンガを象徴している一言でもあります。主人公のガッツは悲惨な境遇で周りに誰も助けて…

ファイブスター物語

壮大すぎて物語の全容がいまだにつかめないのだが、とにかくセンスにあふれる作品。女性とロボの造形にとくにこだわりが感じられる。なんかよくわからんけど、すごい。ストーリーとしては「ゼノギアス」みたいなやつなんだと思う。たぶん。巨大ロボに乗って…

プラネテス

最初1巻だけ読んで、あまりにも起伏のないストーリーに投げだした。ようやく全巻読み終わり、それなりに面白かったものの、どう評価していいかよくわからなくもある。2070年代の宇宙が舞台で、軌道にちらばるゴミ(デブリ)を回収するのが主人公の仕事だ。地…

預言者ピッピ

地震を予知できるほどの高性能人工知能ピッピの話。あまりにも高性能なので、人格ですらも正確にシミュレートするようになるし、はては人の生死まで予知するようになる。もはや預言者。しかしこの全知の存在ですらもわからない謎の事象が発生する、というと…

ヒストリエ

アレキサンダー大王の軍師を務めたエウメネスの話。とはいっても戦争ものではなく、ストーリーの大半はエウメネスの半生です。そしてこれが抜群に面白い。波瀾万丈な展開に振り回されつつも、本心ではのんびりと本でも読みながら暮らしたいと思っているあた…

進撃の巨人

やっと5巻まで読みました。今話題の新世紀エレンゲリオン、じゃなくて進撃の巨人。初期の「ベルセルク」みたいに簡単に人が死んでく緊張感こそ、バトルものには必要ですね。ここは戦場だぞ、みたいな。1巻の絶望感がピークでしたが、後の巻もそこそこ面白い…

宇宙兄弟

自動車会社のエンジニアが会社やめて宇宙飛行士めざす話。いい年こいたおっさんをカッコよく描くのは大変だと思うのですが、このマンガは見事に成功しています。実際に宇宙に行ってスペース大冒険するわけではなく、選抜試験の話がメインなのですが、それで…

アイアムアヒーロー

まだ3巻ぐらいまでしか読んでないですが、ゾンビものとしてはかなり怖い。壊れる前の日常の描写がすごく丁寧で、それが崩れ去った時の「え、ちょ、おま」という感じがすごい。あと主人公が幻覚の見える病人であるあたりも、いいですね。信用できない語り手を…

犬神

人間がやられる側にまわるという点では「寄生獣」と近いですが、むしろグレッグ・ベア「ブラッド・ミュージック」ですね。けっこうグロいところがあって最初は苦手だったのですがなれました。基本的に犬が触手ふりまわして戦います。誰得だよって設定ですが…

寄生獣

人間中心主義に鉄槌。たまたま生態系の頂点にいるからって調子こいてんじゃねーぞ、人の子よ。というわけで、今日は名作の「寄生獣」を紹介します。このマンガの何が最高かって、説教臭くないところですね。普通、こういう環境問題を取り扱ったものは、人間…

何度でも言う。「おやすみプンプン」は素晴らしい

破壊力。これはもはや表現力などという単語で形容できるレベルではない。この作品は破壊力がある。そう形容しないと気がすまない。それほど、この作品には心えぐられる。下衆がいっぱいでてきて、しかもその下衆が延々と自分語りするという点でドストエフス…

AKIRA

建物の崩壊する描写の細かさは、今読んでもすごいと思えるけど、ストーリーとかあってないようなものだし、なんでこの作品が持て囃されたのかはよくわかりません。ただいろんな作品の元ネタにはなっているそうです。そういえば梅原克文「二重螺旋の悪魔」は…

るきさん

バブル期の30代独身女性にもかかわらず、時代の波に振り回されることなく、とことんマイペースなおちゃらけを貫くるきさんマジぱねぇっす。

ポーの一族

吸血鬼の一族が人間社会にまぎれこんで、普通とは違うことに悩むというストーリーなんだけど、話の本筋とかけっこうどうでもよくて、目を見張るのは場面場面の栄華さ。とにもかくにも麗しさへと駆動されていく。美しくなければ気がすまないという連中が、渾…

土曜日の実験室―詩と批評とあと何か

西島大介の短編集・エッセイ集。 僕はこの人、ちょっと変なを絵を描くイラストレーター程度に思っていたのですが、「世界の終わりの魔法使い」を書かれる経緯を読んで考えが変わりました。 なるほど。この人は絶望している。