人類最高の表現力で画かれたバレエのマンガ。
およそ紙の上に画かれた表現の中で、これほど読者の鳥肌を立たせ、圧倒させるものは無い。ストーリーがいいとか画力が高いとか、そういう個々の次元ならば、この作品を超えるものもあるだろう。ただ総合的な演出で、つまり読者の感覚にどこまで訴えるものがあるかという点では、「昴」に勝てない。「昴」だけが到達しうる極地というものがある。ローザンヌの決勝シーンなど、現実のそれを見るよりもよっぽど面白い。
ただどうもボレロ編やアレックス編から、インフレしていく昴の凄さを描写するために神秘やオカルトの領域へと突入していくのが残念ですね。また続編の「MOON」でもかつての熱量は失われており、どうしてこなった状態であることは否めません。ただ、それでもいいのです。一度途方もない高みへと達し、その地平を読者に見せてくれただけで、十分すぎるほどの価値があります。
