ミステリ

完全に奇書――舞城王太郎「JORGE JOESTAR」

JORGE JOESTAR (ジャンプジェイブックスDIGITAL) 作者:舞城王太郎,荒木飛呂彦 集英社 Amazon ジョジョ2部の主人公ジョセフ・ジョースターの父であるものの、原作においてはほとんど言及されないジョージ・ジョースターの物語。舞城王太郎がノベライズしてい…

絶望ノート / 歌野晶午

絶望ノート (幻冬舎文庫)作者:歌野晶午幻冬舎Amazon一言で言うと、死神の出てこない「デスノート」。主人公はいじめられっ子で、いじめが辛い死にたいとか、マジでもうあいつ死んでいいよ死ね今すぐ死ねとか、まあ、そういったネガティブなことを日記に書き…

葉桜の季節に君を想うということ / 歌野晶午

葉桜の季節に君を想うということ (文春文庫)作者:歌野 晶午文藝春秋Amazonタイトルからするとレトロな味わいのある文学を想像しますが、内容はざっくばらんで俗っぽいミステリです。まあ、叙述トリックものですね。筒井康隆「ロートレック荘事件」よりも構成…

ドグラ・マグラ / 夢野久作

ドグラ・マグラ(上) (角川文庫 緑 366-3)作者:夢野 久作KADOKAWAAmazon奇書っていうから敬遠してたけど、レトロな文体のラノベって感じで読めるので、意外としっかりエンタテイメント。京極夏彦とか好きなら是非。冒頭で、いきなり主人公が自分の名前もわか…

フェミニズム殺人事件 / 筒井康隆

フェミニズム殺人事件 (集英社文庫)作者:筒井 康隆集英社Amazon筒井康隆のミステリ。「文学部唯野教授」の講義で使うはずだったフェミニズム関連のネタを膨らましてミステリに仕立てたそうです。ただ正直言って、これなら不完全でもいいから唯野教授の講義を…

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 / スティーグ・ラーソン

ミレニアム1 ドラゴン・タトゥーの女 (上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)作者:スティーグ・ラーソン早川書房Amazonミステリというよりもノンフィクションのような印象を受ける。つまり、飛躍的な発想による一点突破ではなく、地道な下調べによって少しずつ外堀を…

イリーガル・エイリアン / ロバート・J・ソウヤー

イリーガル・エイリアン (ハヤカワ文庫 SF ソ 1-8)作者:ロバート・J. ソウヤー早川書房Amazonソウヤーの最高傑作。 ファースト・コンタクトもの。エイリアンの滞在する施設で、地球人の惨殺死体が発見され、容疑者としてエイリアンが逮捕されてしまう。相手…

ディスコ探偵水曜日〈下〉 / 舞城王太郎

ディスコ探偵水曜日(下)(新潮文庫)作者:舞城 王太郎新潮社Amazon完全に神話だこれ。舞城王太郎は神話を創ろうとしている。単なるタイムトラベルものかと思いきや、世界の成り立ちを解き明かし、時空の認識を一変させる壮大な話だった。いや、正直すげー…

ディスコ探偵水曜日〈上〉 / 舞城王太郎

ディスコ探偵水曜日(上)(新潮文庫)作者:舞城 王太郎新潮社Amazonなんだこれは。過剰だ。過剰すぎる。導入部の30ページは傑作SFを予感させる出だしなのに、そこから清涼院流水「コズミック」のような、バカミスが延々と続く。殺人事件に過剰な意味づけを…

暗闇の中で子供 / 舞城王太郎

暗闇の中で子供 (講談社ノベルス マG- 2)作者:舞城 王太郎講談社Amazon読み終えた後に壁に叩きつけたくなる本ということで評判だったので、そうはいくかと読んでみたら想像以上に壁に叩きつけたくなって笑った。ミステリとしては一応前作の続きということで…

煙か土か食い物 / 舞城王太郎

煙か土か食い物 (講談社文庫)作者:舞城王太郎講談社Amazon連続主婦殴打生き埋め事件を解決するというストーリー。ふつうこういうサイコな事件には犯人特有のフレーバーがあって、なんらかの象徴だったり見立てになっていたりするわけだけど、この小説ではそ…

名探偵の呪縛 / 東野圭吾

名探偵の呪縛 (講談社文庫 ひ 17-14)作者:東野 圭吾講談社Amazon売れ線のエンタメだけ書いている作家かと思いきや、実はこういう作家としての心情を吐露しただけのような、わりとどうでもいい本も書いていたのですよ、東野圭吾という人は。まあ、それだけで…

名探偵の掟 / 東野圭吾

名探偵の掟 (講談社文庫 ひ 17-21)作者:東野 圭吾講談社Amazon東野圭吾でこれがオススメとかどういうことだよ、と言われそうなんですが、僕にとっては誰が何と言おうとこれなのです。主人公である探偵役はこれがミステリ小説であることに自覚的なので、ミス…

「ひぐらしのなく頃に」好きなら読んどくべき3作

ひぐらしのなく頃に 第1話 鬼隠し編 上 (講談社BOX)作者:竜騎士07講談社Amazonこう見えてけっこうひぐらし好きなんですよ。ちゃんと原作の方でやりました。「皆殺し編」とかは泣きましたよ。こう、運命を乗り越えるとか、宿命に抗う、とか大好きなんです。ま…

クビシメロマンチスト / 西尾維新

クビシメロマンチスト 人間失格・零崎人識 (講談社文庫)作者:西尾維新講談社Amazonミステリを読んでいるとまるでスーパーの棚に陳列しているカップ麺のように、密室殺人とか連続殺人とかが投げ売りされていて、もう正直げんなりなんだけど、この小説ではその…

クビキリサイクル / 西尾維新

クビキリサイクル 青色サヴァンと戯言遣い (講談社文庫)作者:西尾維新講談社Amazonバカミステリが好きなら清涼院流水を読めばいい。うじうじとした内省を味わいたいなら京極夏彦を読めばいい。言葉遊びと笑える文体を堪能したいなら舞城王太郎を読めばいい。…

ダ・ヴィンチ・コード / ダン・ブラウン

ダ・ヴィンチ・コード(上) (角川文庫)作者:ダン・ブラウンKADOKAWAAmazon

エナメルを塗った魂の比重 / 佐藤友哉

エナメルを塗った魂の比重: 鏡稜子ときせかえ密室 (講談社ノベルス サK- 2)作者:佐藤 友哉講談社Amazon

ロートレック荘事件 / 筒井康隆

ロートレック荘事件(新潮文庫)作者:筒井康隆新潮社Amazon筒井康隆のミステリでは一番ミステリらしい。奇をてらった感じがなく、なんというか、ふつうのミステリです。何を言ってもネタバレになってしまうので多くは語りませんが、どんでん返しを楽しみたい…

模倣犯 / 宮部みゆき

模倣犯1 (新潮文庫)作者:宮部 みゆき新潮社Amazonドキュメンタリーのように総合的な視点で殺人事件を描く長編。「理由」を2倍の長さに薄めたような作品です。「理由」のときも内容の冗長さに文句たらたらだったんですが本書はさらにひどい。スープの味付けが…

寄生木 / 長坂秀佳

寄生木 (角川ホラー文庫 60-3)作者:長坂 秀佳KADOKAWAAmazon長坂秀佳の弟切草シリーズ第3作。著者自身が主人公で、自分が書いた小説「弟切草」の登場人物を名乗る男から、「その小説を書くのは止めてください。ストーリー通りに人が殺される!」と脅迫される…

陰摩羅鬼の瑕 / 京極夏彦

文庫版 陰摩羅鬼の瑕 (講談社文庫)作者:京極 夏彦講談社Amazon京極堂シリーズ第7作目。嫁いだ花嫁が次々と死んでいく洋館。いかにもって感じのシチュエーション。今回のテーマは「儒教」です。それもハイデガーの哲学と融合した儒教なので、面白かったです。…

塗仏の宴 / 京極夏彦

文庫版 塗仏の宴 宴の支度 (講談社文庫 き 39-6)作者:京極 夏彦講談社Amazon京極堂シリーズ第6作目。大量虐殺があったとかなかったとか、そんな話。凶器にもなりうる犯罪的な厚さの文庫本が上下二冊あるという、冒涜的な重量に圧倒されます。面白いんですが…

絡新婦の理 / 京極夏彦

文庫版 絡新婦の理 (講談社文庫 き 39-5)作者:京極 夏彦講談社Amazon京極堂シリーズ第5作目。まあ恒例のごとく連続殺人事件がおきて、いろいろ民俗学ネタをからめつつ解決するよ! という話。今回は美人四姉妹というなにやら読者受けを狙った設定があり、さ…

鉄鼠の檻 / 京極夏彦

文庫版 鉄鼠の檻 (講談社文庫 き 39-4)作者:京極 夏彦講談社Amazon京極堂シリーズ第4作目。今回のテーマは「禅」です。この禅というのは京極堂の天敵ともいえる存在です。なぜなら、禅とは言葉では表現できないものだからです。言葉では表現できないものを体…

狂骨の夢 / 京極夏彦

文庫版 狂骨の夢 (講談社文庫 き 39-3)作者:京極 夏彦講談社Amazon京極堂シリーズ第3作目。前2作と比べてややパワーダウン。それでも凡百のミステリと比べたら断然に面白いです。今回のテーマは「宗教」です。よく無茶な動機にカルト宗教が使われますが、多…

魍魎の匣 / 京極夏彦

文庫版 魍魎の匣 (講談社文庫 き 39-2)作者:京極 夏彦講談社Amazon京極堂シリーズ第2作目。箱を祀る奇妙な霊能者。箱詰めにされた少女達の四肢。そして巨大な箱型の建物――箱を巡る虚妄が美少女転落事件とバラバラ殺人を結ぶという話。前作よりもボリュームが…

姑獲鳥の夏 / 京極夏彦

文庫版 姑獲鳥の夏 (講談社文庫 き 39-1)作者:京極 夏彦講談社Amazon京極堂シリーズ第1作目。古今東西のミステリの中で京極堂シリーズは桁外れに面白い。その1作目である本書は最もコンパクトにまとまっており、一番オススメです。「妖怪小説」といえるほど…

青の炎 / 貴志祐介

青の炎 (角川文庫)作者:貴志 祐介KADOKAWAAmazon高校生の男の子が平和な家庭をぶち壊す闖入者を殺そうとするストーリー。「デスノート」なんかと同じ、正義のために人を殺そうとする話なので、殺人がテーマなのに前向きな内容でした。主人公が殺そうとするお…

悪意 / 東野圭吾

悪意 (講談社文庫 ひ 17-22)作者:東野 圭吾講談社Amazon東野圭吾のミステリはまだ数えるほどしか読んでませんが、これが一番完成度高いんじゃないかと思います。相変わらず乾燥した文章というか、生きの悪い文体ですが、それすらも作品の雰囲気に貢献してい…