煙か土か食い物 / 舞城王太郎

連続主婦殴打生き埋め事件を解決するというストーリー。ふつうこういうサイコな事件には犯人特有のフレーバーがあって、なんらかの象徴だったり見立てになっていたりするわけだけど、この小説ではそういったミステリの旨みがほとんど蒸発してしまっている。なんというか、筆圧の高い文体が土石流のようにストーリーを砕き踏みにじり、もはやあとに残るのは、よくわからない何かがたった今ここを通り過ぎていった、という呆けた感想だけとなる。こんなわけのわからない小説が舞城の代表作として持て囃されているのは正直理解できないんですが、みなさんはこれのどこに魅かれたんでしょうか。