狂骨の夢 / 京極夏彦

京極堂シリーズ第3作目。前2作と比べてややパワーダウン。それでも凡百のミステリと比べたら断然に面白いです。今回のテーマは「宗教」です。よく無茶な動機にカルト宗教が使われますが、多くの作品で描かれている宗教は薄っぺらいバックボーンしかもたないご都合主義の産物です。しかしこの作品ではその宗教をとことん書き尽くしています。人が何かを信じるのには莫大な理由があるはずですが、その理由は個人の内面にずぶずぶはまっていかないとわからないことです。この小説では登場人物の心情の描写にかなりを割いているので、納得のいく理由がありました。反面読んでいてつらくもあったので賛否両論あるでしょうが。