エッセイ
「なんぢらのうちたれか、百匹の羊をもたんに、もしその一匹を失はば、九十九匹を野におき、失せたるものを見いだすまではたづねざらんや」というのは「ルカによる福音書」の一節であるが、福田はここに文学と政治の役割分担を見る。政治とは万民のためにあ…
伊藤計劃成分が足りなくて困っている、そんなあなたにぴったりの短編+エッセイ集。民族紛争後、「自分の部族と他の部族の見分けがつかなくなる」脳神経的処置を受けた少年兵の話(「The Indifference Engine」)は圧倒的に面白いです。これだけは是が非でも…
筒井康隆の対談集。有名どころは村上陽一郎、養老孟司、立花隆など。基本的にそんな深い話はなく、知的なだべりって感じですね。とはいえ物理学の難しい話はよくわかんないという話が筒井さんの口から漏れてきたときは、なんとなくSF作家としての限界を感じ…
講義とは名ばかりの文学エッセイであり古典文学の書評です。いつもの筒井康隆のノリのよさ・ギャグがなくてさびしいですが、その分簡潔な文章になっているので新書としてはプラスなのかもしれません。しかし紹介されている古典自体がそんなに面白くないこと…
私は森博嗣のいい読者ではありません。なぜかというと彼の代表作がことごとく性に合わず、一番面白かったのがこのエッセイというありさまだからです。てきとーなロジックで問題をはぐらかしたり質問を煙に巻いたりするそのやり口は、あまり好きじゃないんで…
筒井康隆の三島由紀夫論 + エッセイ。表題作は評論というよりも小説として読めるので面白い。美学や文学を語ろうとする人は作品になんとか高尚な価値を見出そうとして、ひたすら高く積み上げられたジェンガのような構造的欠陥のある論理を濫造してしまい、そ…
筒井康隆のエッセイ。自衛隊の海外派兵問題・死刑囚の永山則夫と日本文芸家協会の問題など、話題としては古いんですが、今読んでも十分に面白い。 たとえば、自衛隊の海外派兵問題についてはこうです。
脳科学の分野で有名な茂木健一郎のポピュラーサイエンス。世界のありとあらゆる物事は頭蓋骨の中にちょこんとある、1リットルの物理的な構造物の中身で起きた現象に過ぎない。単なる脳内現象ですから、数式で全て記述できてしまうようなものだ。が、「今、こ…
筒井康隆のエッセイで一番刺激的です。掲載雑誌が一般向けだったこともあり、トークの面白さは抜群です。とくに断筆宣言へと至る経緯が面白い。いや、面白いなどと言っては不謹慎だと怒られそうだが、それでもこの問題は今一度考えて見るべきものでしょう。 …
筒井康隆のネタ帳をそのまま出版したような本です。まさに文章の切り売りでそんなもん誰が買うのであろうかと訝りながらも、そのキャッチコピーに仰天する。盗作ご自由。なんと。パクリ放題というわけだ。今回ほど気軽に本文を引用できるチャンスはない。こ…
科学者がロボットや人工知能といったテーマについて語り、SF作家がそれにマジレスする(アンサーソングとして短編を書く)というこの企画。超絶面白い。とくに科学者たちの話がことごとく面白い。発想が大胆すぎて科学者の発言というよりもSFファンの与太話…
えーどうも久しぶりです。この本はゼミの課題図書として読んだんで、普段のレビュースタイルとは打って変わっておかたい要約だけにとどめます。だからつまんないと思うんで時間ない人は飛ばしちゃってください。
筒井康隆のエッセイは下手したら作品そのものよりも面白いから困る。「断筆宣言への軌跡」と一部かぶっているんですが、こっちのほうが色んなネタを扱っており読み応えがあります。もう書きたい放題やってるんで痛快を通り越して唖然とします。平然と死ねだ…
隠れた名著。複雑系の研究者・金子邦彦の科学エッセイ+SF。非常に刺激的な本です。とくに円城塔ファンにはたまりません。
SF作家がどのようにSFを肯定し、そこに価値を見出しているか、という話です。論文というよりも意気込みなので、これだけじゃなんとも言えません。やはり素晴らしい作品があってこそ、SF賛歌はSF賛歌たりえるのでしょう。