オタクはすでに死んでいる / 岡田斗司夫

正直はげしくどうでもいいエッセイなんですが、著者の言いたいことは「強いオタク」の文化が消えた、ということです。そして世間一般で言われるところのオタクはすでに昔の「強いオタク」でないと、こう続きます。なんていうか、「近頃の若い者は教養がない。私が君たちくらいのころは〜〜も〜〜も当然修めていたし、がんばって〜〜までしたりしていた。それに比べて……」っていうのとそっくりじゃないですか。そのうち「オカダはすでに死んでいる」なんてカウンターパンチが飛んでもこないとも限りません。
あと「SFは死んだ」なんて書いてあるからびっくりして読んでみたら、昔のSFファンたちのきわめてどうでもいい内輪もめでしかなくて、別の意味でびっくりしましたよ。著者も認めている通り、個々の作品の質は年々高まっています。科学技術が発達する限り、SFもまた進歩し続けるでしょう。そんな明るい展望が待っているのに、いまさら「SFは死んだ」とか厭世的にならんでもいいでしょう。まあたしかにセールス的には死んでるかもしれませんが(笑)