ライトノベル
就活生 in 剣と魔法のファンタジー。やっていることは、お祈りメールに苦しみながら、不条理な就活戦線を生きる大学3年生なんだけど、これをファンタジーの文体でやるので、じわじわと面白い。また、世界観がファンタジーでありながら、ストーリーがきわめ…
文明が一度崩壊して、種としての余生を過ごすようになった人類が、超絶テクノロジーを持つ謎の種族“妖精さん”に翻弄されるという話、ここに完結。とてもとても面白く読みました。のほほんとした文体と、それでも隠しきれない人間のどす黒さがにじみ出ている…
「マルドゥック・スクランブル」の前日譚ですが、スクランブルのほうが面白かったかなあ。相変わらず超絶テクノロジー同士の能力者バトルものなんですが、文体が少し変わっています。体言止めが異常に多い、うるおいをそぎ落とした文体でして、まあ、これは…
性的な表現の自由が禁止された管理社会が舞台。教育は、生徒を性知識から徹底的に遠ざけるPTA万歳なものになっていた。そんな中、人々を啓蒙しようと立ちあがった若者がいた(性的な意味で)。嫌いじゃないぜ、こういうの。臭いものに蓋の精神で言葉狩りに走…
素晴らしかった。国を創る。それも世界のシステムに変革をもたらすような帝国を創るという、壮大な物語だった。本書は新世紀の小林多喜二「蟹工船」になる。 当然、日本からは領土をぶんどって独立宣言をしなくてはいけない。その後は領土を守るための軍事力…
「化物語」の前の話。このシリーズを主人公とかわいい女の子がしょうもない掛け合いしてきゃっきゃうふふするものだとばかり思っている読者には悪いけど、そういった要素は少ない。むしろ、超能力学園物バトルになっているところがあり、また吸血鬼ゆえの孤…
退屈な日常に突発的に登場するチェーンソー男と武装少女。日常系男子、非日常に巻き込まれて候。 爽快感もなく、かといって憂鬱でもなく、非常に微妙な話です。わけのわからない不思議世界についていけず微妙というのではありません。安易なオチやヤマを避け…
クラス内政治ほど、うんざりさせられるものはない。唾棄すべき馴れ合いにも関わらず、率先してその輪に入って空気を読んでいかざるを得ないところが、より構成員のうんざり感を強めることに成功している。 本書は、そんなクラス内政治に内心うんざりしながら…
このシリーズはわりと好きなんですが今回はやっつけ仕事と言わざるをえません。鳥人間コンテストとBL同人誌をパロディにしているんですが、なにか散漫な印象を受ける。
ビジネス小説のラノベっていうだけで軽薄なものしか想像できないわけですが、この本に限っては予想を裏切られました。完全に面白いです。さしたる技術も人材もない零細企業がアイディアだけでのし上がる様は本当に楽しい。そして単に一企業として成功するに…
ヤンデレものらしいということで、舞城王太郎「暗闇の中で子供」に倦んだ僕は、良きヤンデレを求めてこの本に手を出したのです。404 Blog Not Found:幸せの背景は不幸 - 書評 - 嘘つきみーくんと壊れたまーちゃんを読んで前から気になっていたというのもあり…
僕のような書痴がハルヒを読むと「ああ、このネタは前読んだあれにもあったな」といった既視感が際限なく襲ってきて、いざ書評するとなってもグルメ漫画に出てくる評論家みたいにうっとうしい成分分析をするだけになってしまう。しかしそんな元ネタ探しをし…
現代ライトノベルの課題は、主人公とヒロインがいかに隠密にいちゃいちゃするかにあります。ここで露骨にいちゃいちゃしてしまうといかにも無内容であることがばれてしまいますので、事件に巻き込まれる形であったり、変人に絡まれる形であったりと、巧妙に…
このシリーズは3巻が一番好きなんですが、5巻の前篇はそれにつぐ面白さ。主人公のシリアスな過去が明らかにされます。周りに溶け込まない孤高主人公が徐々に打ち解けていくという、学園ものではおなじみのパターンですが、これがまたいいんですよ。「AURA」…
シリーズもの最大の弊害「中だるみ」が顔を出しております。非日常とみせかけた、ドラえもん的な日常がだらだらと続く感じ。1巻の焼き直しみたいな印象です。
遺跡探検もの。ロストテクノロジーに翻弄される冒険とかたまりませんね。いい年こいた大人が現代の電化製品を過去の栄光の象徴として祭り上げるところなんかも、ノスタルジックな感傷とともに爆笑できる名シーンです。新キャラも出てきて世界観がいい感じに…
体が小さくなって大冒険という懐かしのあのパターンなわけですが、いやあすごいなあ。パロディの嵐で笑えますし、知性の大小によって世界認識が変化するくだりなんかは感動的な面白さです。ダニエル・キイス「アルジャーノンに花束を」ほど泣かせはしません…
森絵都のほのぼのとした脱力感と、ラファティのくだらなさと、ヴォネガットのシニカルな諧謔を怒涛のゆるさで希釈して、児童文学チックにまとめてみましたよって感じ。文明が衰退し、ゆるやかな余生を楽しむご隠居のような人類に代わって万物の霊長となった…
ミステリを読んでいるとまるでスーパーの棚に陳列しているカップ麺のように、密室殺人とか連続殺人とかが投げ売りされていて、もう正直げんなりなんだけど、この小説ではそのげんなり感をあらかじめ主人公が取りこんでいるところが新鮮だった。どこぞの名探…
バカミステリが好きなら清涼院流水を読めばいい。うじうじとした内省を味わいたいなら京極夏彦を読めばいい。言葉遊びと笑える文体を堪能したいなら舞城王太郎を読めばいい。しかし、そのすべてを手軽に楽しみたいなら、あなたは西尾維新を読むしかない。と…
SFに興味あるけどラノベが主食でどうもハヤカワは近寄りがたい……、そんな方は是非ともこの1冊を読んでほしい。めちゃくちゃ読みやすく、それでいてSFの魂が宿った正真正銘の本物でした。果てしなく遠いところへ来てしまった、というあの感動が待っています。…
中二病(邪気眼)のヒロインと高校デビューで脱オタをはかった主人公のドタバタ。白岩玄「野ブタ。をプロデュース」と滝本竜彦「NHKにようこそ!」と綿矢りさ「蹴りたい背中」を5:3:2ぐらいでブレンドしたみたいな内容です。「野ブタ。をプロデュース」はエ…
桜坂洋のライトノベル。謎のモンスター・ギタイとの終わりなき激闘……と書くと、超人的な英雄が主人公のバトルものというごくありきたりな展開を想像しますが、これは全然違います。主人公はあくまでも凡人なので、雑魚キャラのごとく死にます。しかし、なぜ…
そのまんま漫画化できそうなラブコメの王道っていう感じで、漫画チックなキャラに耐え切ることが出来るかどうかが勝負の分かれ目でしょう。こういうのが嫌いな人は、読んでも驚きと感動が一切無いであろう確信があります。けどそういうニーズを持つ中高生あ…
高度6000km、秒速5600kmの人工衛星の内部で築き上げられた猫の社会が舞台の話。反吐が出そうな表紙ですが、SFとして評判がよかったので読んでみました。センス・オブ・ワンダーはほぼ無いですが、ニーヴン&パーネル「神の目の小さな塵」のようなSFマインド…
自分のひきこもりの原因にはある陰謀が絡んでいると信じ込んだ主人公のギャグ小説。ダメ人間っぷりがちょっとだけ面白かったです。「ピューと吹く!ジャガー 」のハマーみたいな。というか、絵のない漫画って感じです。漫画は読むけど小説はちょっと……という…
うわあ、これは……。漫画にあるような設定をくどくどしい文体で表現するとこうも恥ずかしいことになんるんでしょうか。中二病まっしぐらですよ。まあベタ褒めした冲方丁「マルドゥック・スクランブル」も女の子が銃を両手に大暴れするという中二病な話なんで…
ネタバレ無しの総評です。ネタバレ有りの総評は「マルドゥック・スクランブル―The Third Exhaust 排気」をどうぞ。
ネタバレ有りの総評です。ネタバレ無しの総評は「マルドゥック・スクランブル―The Second Combustion 燃焼」をどうぞ。
2003年度『SFが読みたい!』国内篇1位ということで読みました。初めてラノベ読んだんですが思ったより普通ですね。萌えで装飾された三文小説というイメージがあったんですが、この本はちゃんとエンタメがんばってると思います。ウィリアム・ギブスンが書いた…