灼熱の小早川さん / 田中ロミオ

クラス内政治ほど、うんざりさせられるものはない。唾棄すべき馴れ合いにも関わらず、率先してその輪に入って空気を読んでいかざるを得ないところが、より構成員のうんざり感を強めることに成功している。
本書は、そんなクラス内政治に内心うんざりしながらも器用に立ちまわることのできる主人公が、クラス内政治をぶち壊し新秩序を樹立せんと蛮勇をふるう女子に影響され、スクールカーストを転落していく物語である。
同じ学園物でもコミカルな色合いが強かった「AURA」に比べ、沈鬱な閉塞感が漂う本作はあまり愉快なしろものではない。とはいえ、このだるさは日本のいたる組織で見られるだるさであるし、空気の不愉快さを確認できるという意味では、非常に読み応えがある。ところどころに挿入されたギャグは相変わらず笑えるし、委員長キャラという扱いづらいヒロインをそこそこ魅力的に描いている点など評価したい。要約。面白いから読め。

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