僕のような書痴が
ハルヒを読むと「ああ、このネタは前読んだあれにもあったな」といった既視感が際限なく襲ってきて、いざ書評するとなっても
グルメ漫画に出てくる評論家みたいにうっとうしい成分分析をするだけになってしまう。しかしそんな元ネタ探しをしてもつまらない。というわけでここは「
ハルヒも面白いけど、むしろ個人的にはこっちの方が……」という5冊を挙げて、書評に代えさせていただきます。
まずは宇宙人もの。この小説に出てくる宇宙人は複数の個体が集まって
集団思考します。固体のそれぞれが異なる性格を持ち、その個体の集合がひとつの人格をつくるという設定なので、固体が欠けたり増えたりすると性格が変わります。つまり精神の品種改良が可能なのです。ワクワクしますね。どうせ宇宙人出すならこれくらいぶっ飛んでいないと。
未来人ものを探そうとしたんですが、よく考えたらタイムスリップもの・ループものをチョイスしたほうがいいなと思ってこの一冊。全く新しい形のタイムマシンが出てくる「未公開実験」が収録されています。他の短編ものきなみ水準以上で、何度も読み返したくなるほどくせになる短編集です。
長門有希の100冊に含まれている
「海を見る人」でもいいけど、あっちは物理定数の違う世界のシミュレーションだったりして想像力の限界を突破しているので、初心者向けのこちらを薦めます。
超能力もの。他人の心が読める能力者が世間を渡り歩く「
家族八景」、能力者バトルの古典「七瀬ふたたび」、
ハルヒと設定の近い「エディプスの恋人」の
七瀬シリーズです。シリーズものということで、1作品とカウントしてます。これは人間観察がするどくて心が痛くなるくらいです。
キョンの冷めたツッコミが好きなら楽しめるでしょう。
中二病もの。
ハルヒって宇宙人や超能力の存在を信じていて、それだけなら単なる痛い
中二病ですよね。しかし実際にそんな奇天烈な連中が周りにいて、しかも当の本人はそれに気づいていない、というところに面白さがあると思います。さて、この小説のヒロインは自分が
長門のような存在だと信じ切ってる不思議ちゃんなのですが、舞台設定が
ハルヒと違って現実的なのでなかなか
ハルヒみたいに天真爛漫に暴れまわることができません。正直リアルに
ハルヒみたいなのがクラスにいたらちょっと困るじゃないですか。その辺の不思議世界と現実世界のギャップがコミカルに描かれていて爆笑できます。