人類は衰退しました / 田中ロミオ

森絵都のほのぼのとした脱力感と、ラファティのくだらなさと、ヴォネガットのシニカルな諧謔を怒涛のゆるさで希釈して、児童文学チックにまとめてみましたよって感じ。文明が衰退し、ゆるやかな余生を楽しむご隠居のような人類に代わって万物の霊長となったのは妖精だったというストーリーです。妖精なんていうメルヘンな存在が出てくるファンタジーなんですが、夢とかロマンとかそういうのじゃ全然ありません。とはいえ、妖精のくりだす超絶テクノロジーが人類を翻弄する……! はたして人類の明日はどっちだ……! といったサスペンスでもありません。じゃあなんなのだ、というと、うん、これは一体なんなのだろうか。分類不能なのですが、ひねくれたユーモアで笑いたいなら読んで損はないです。