猫の地球儀 / 秋山瑞人

高度6000km、秒速5600kmの人工衛星の内部で築き上げられた猫の社会が舞台の話。反吐が出そうな表紙ですが、SFとして評判がよかったので読んでみました。センス・オブ・ワンダーはほぼ無いですが、ニーヴン&パーネル「神の目の小さな塵」のようなSFマインドを感じられてよかったですね。悔しいですがそこそこ面白かったです。まあ猫っつってもハインライン「夏への扉」みたいな猫ではなく思想も行動も人間臭いので、要するにこれは風刺です。不可能なことに挑戦する天才は、世間がどう思おうとひたすら自分を信じる楽観主義の塊りです。しかし、やはりそれは世間にとっては迷惑な存在に変わりはありません。その天才と社会との軋轢が、薄っぺらいこの本を読ませるものにしています。