化物語 / 西尾維新

現代ライトノベルの課題は、主人公とヒロインがいかに隠密にいちゃいちゃするかにあります。ここで露骨にいちゃいちゃしてしまうといかにも無内容であることがばれてしまいますので、事件に巻き込まれる形であったり、変人に絡まれる形であったりと、巧妙にさりげなくいちゃいちゃする必要があるのです。この技法――ステルスいちゃいちゃ――がいかんなく発揮されているのが本書の序盤でした。えっと、あとはストーリーですか。なんか、妖怪が出てきます。それだけです。間違っても京極堂シリーズみたいのを期待してはダメです。ストーリーなぞ飾りです。偉い人には以下略です。
あと面白いなと思ったのは、こう流れの反復が多いところですね。反復することで軸をつくり、それからのちょっとした逸脱として笑いがあります。つまり「ボボボーボ・ボーボボ」的な無差別爆撃によって落差を濫造するのではなく、お約束の反復とそこからの差異によって無理やり落差をつくりだしているような、そんな感じです。なんていうかなあ。「百舌谷さん逆上する」2巻10話のような安心感です。わかりませんね。