エナメルを塗った魂の比重 / 佐藤友哉

なんというか、ネタ臭がすごいです。カニバリズムとかイジメとか密室殺人とか、なんかそういうハードな作品なのかなと思ったら、急にSF設定も出てきたりと節操がない。しかも高校生が書いたブログみたいな文体なので、全体としての色がかなり濃いです。すごい読ませるミステリでもあります。が、ミステリとしてはやや邪道なのでその辺は注意が必要です。トリッキーな展開にすることにがんばりすぎて物語としてのオチもよくわからないし。伏線の絡まりあいとか答え合わせのときの爽快感はなかなかのものなんですが……。ぷよぷよで10連鎖を組めたんだけどそもそもなんで俺ぷよぷよなんかしてんだろ? もっとやることないの? みたいな根本的な疑問が残ります。