「ひぐらしのなく頃に」好きなら読んどくべき3作

こう見えてけっこうひぐらし好きなんですよ。ちゃんと原作の方でやりました。「皆殺し編」とかは泣きましたよ。こう、運命を乗り越えるとか、宿命に抗う、とか大好きなんです。まあミステリとして読んだら、ふざけんなってことになるでしょうが。あと文章は稚拙ですね。読むのがつらかったです。日常シーンの寒さといったら酷寒と形容すべきレベルでして、時間返せと思ったことも一度や二度じゃありません。ただ「皆殺し編」だけ本当に素晴らしいんです。もし読もうという人はここにたどり着くのだけを希望に、永劫とも思える旅路を邁進してほしいですね。

桜坂洋「All You Need Is Kill」

死んでも何度も生き返り無限に同じステージを挑戦し続けるゲームのキャラが、どんなふうに人生を感じているのかという話。一面のクリボーに殺されるマリオの視点で進む話というとわかりやすいでしょうか。エンタメとして純粋に楽しく、なおかつSFとしての設定の妙もあり、一粒で二度おいしい。




町田康「告白」

閉鎖的なムラ社会から孤立していき、ついにはいくところまで追いつめられるという話なら、これが最強でしょう。ひぐらしも「告白」もディスコミュニケーションから起こる悲劇という点では共通しています。しかしさすが町田康竜騎士07の読むに耐えない文章よりも数千倍上手い。この文体だけでもごはん三杯はいけますが、ストーリーのほうもめずらしくいいんですよ。人を殺そうと思ったことのある人もない人も、この本は読んでほしい。


東浩紀「クォンタム・ファミリーズ」

本当ならここで本格ミステリとか紹介して、ひぐらしに落胆したミステリファンの傷ついた心を癒すべきなんでしょうが、あいにくミステリはそんなに読んでないのでわかりません。代わりに、これ。ひぐらしでは後悔の念を抱いた主人公がメッセージを送ろうするシーンがあるんですが、そのメッセージというのは、その世界の誰かに送られるわけではありません。つまり、その世界においては全く伝わることのないメッセージなのです。じゃあ誰に伝えるんだよ、ということになりますが、それは並行世界なわけです。書いていて自分でも意味がわかりませんが、なぜかこの世界を貫くメッセージというのは、なかなか味わいが好きなのです。本書もそんな話です。