竜のかわいい七つの子

ファンタジーの短編集というだけでも、かなり希少価値があり、その中でも、本作は、それぞれの作品ごとにタッチを書き分けているなど、ものすごい趣向をこらした部類に入る。とくに「金なし白祿」は傑作で思わず涙がこぼれました。両瞳をいれれば描いた生物は動き絵を飛び出すと謳われる画家・白祿の、創造者としての傲慢さ。被創造者から慕われて、その傲慢さが徐々にほぐれていく様。そして、なんといっても、被創造者が、この場合、絵から飛び出してきた生き物と、自分の生物学的な子供の二種類があり、その双方の創造者(親)への愛情が、うまく接続される形で描かれているんですよ。ここが、本当に素晴らしい。