ちーちゃんはちょっと足りない

どうして私には何もないんだろう……?
常に周りと自分を比べずにはいられない、中学校という閉鎖的な環境で、上述の問いは発せられる。友達は家族旅行で海外に行ったり、恋人がいたり、テストの成績が良かったり、毎朝気軽にジュースを買えたり、恵まれているのに、自分には何もない。しかもその友達がスネ夫みたいにいけすかない奴だったらまだ憎むこともできるんだけど、性格もいい。だから嫉妬することもできず、ただただ自分の“低さ”が浮き彫りになって、みじめさの中でのたうちまわるしかない。
世界のすべてが嫌になるような極限状態で、でも、だからこそ、何気ない友達の存在が、すっごい爽やかな気休めとして立ちあがってくる。そういうマンガです。これほど友達の大切さがしみじみと伝わってくる作品は他にないでしょう。本書の切実さと比べたら、ほかの友情ものは余裕しゃくしゃく過ぎる。