100年予測 / ジョージ・フリードマン

未来予測というのは外れることが多すぎるので、読む価値が無いと思っていたが、なかなか面白かった。 未来を予測するためには、過去を適切に評価し、そこから将来も起こり得そうなエッセンスを抽出しないといけない。本書のこの部分は実に説得力がある。例えば、アメリカがユーラシアに介入し続けるのは、そうすることで自由と民主主義を輸出し、その地域に安定をもたらすためでは無い、と本書は述べる。逆に、この地域を不安定にし、アメリカに挑戦できるような大国の出現を阻止するという自国の安全保障が最大の理由なのだ。そう考えると、今までの介入が中途半端であることにもうまく説明がつく。またロシアが、首都と欧州の間にできるだけ長い緩衝地帯を作りたいという動機から、いずれ東欧に進出するだろうという予測は、今のウクライナ情勢においてすでに現実化しており、本書の精度の高さを窺わせる。
次の大戦で使われる兵器の予想も面白い。高高度の衛星から発射される超音速ミサイル、宇宙太陽光発電によって電力供給されるパワードスーツを着た少数精鋭の地上部隊など、敵国の軍事拠点だけをピンポイントに破壊できる兵器の登場が予想されている。これらは今のところ技術的には可能であっても、コスト面で見合わないため実用化されていないが、戦争という無尽蔵に予算をかけられる名目が与えられると一気に実用化するのだという。
未来予測としてはレイ・カーツワイルもオススメ。