ぼくらのよあけ

本当にいいマンガだなあ。小学生が夏休みに異星人の送った探査機とファーストコンタクト、というあらすじだけ聞くと面白いのかどうかわからないけど、小学生ならではの、地に足のついた悩みがよくかけていて、読んでいてノスタルジーが止まりませんでした。いや、いいことばかりではなく、そこには当然いじめみたいな、息苦しい要素もあるんですね。女子同士の不毛なはぶり、はぶられ、の政治ゲームとか。まあ、いろいろあります。しかし、こういった地上の重苦しさは、天上の夢と冒険の宇宙探査の話と対比される形で、最終的には吹き飛んでいくのです。なんかいろいろ問題はあるけど、それでも宇宙というフロンティアが目の前にあって、天を見上げればこんなにも広い世界が広がっているんだと、とてつもない飛翔感とともに完結します。剛腕です。しかも、この間、わずか2巻しか使っていません。ものすごく圧縮された、精緻な物語だと思います。鬱屈した現代において、それでもマジメに希望とか夢とかを語るのならば、これぐらいの傑作を用意しなくてはいけません。