新・電波利権ver.2 / 池田信夫

業界を飛び出して独立した人が古巣の膿を洗いざらい吐き出す光景は、常に痛快だ。本書は元NHK職員が放送・通信業界が、いかに規制に守られて非効率的なことになっているかを暴露した本だ。電波というのは公共の土地みたいなもので、周波数というのはその番地だと思ってもらっていい。この電波は近年スマートフォンの普及により需要が高まっているのだが、その電波の一等地が利用率の悪いテレビ局や業務用無線(船舶無線、タクシー無線、地域防災無線など)に割りあてられている。たとえるなら、高層ビルが立ち並んでいる都心部に農地がぽつんとあるような状況だ。全体の効率を考えるなら、その土地をもっと有効活用できる人が買い上げる機会を与えるべきだろう。
農政の分野では山下一仁「農協の大罪」という本があるが、どちらも官僚をめざす大学生に読んでもらいたい。
ちなみにアゴラブックスで電子書籍を買うとかなり安いのだが、ウェブ上で「閲覧する」を選ぶと、いちいちログインしなくてはいけないのでめんどくさい。何時間かたつとログオフしてやがるので、紙の本にはないストレスを感じた。一番いいのはPDFをダウンロードしてKindleアプリで読むことかもしれない(購入するとPDF版をダウンロードできる)。