考察

テオ・ヤンセン展に行ってきた

円城塔のレポートを読んで矢も楯もたまらず行ってまいりました。たしかにこれはSFファン垂涎のイベントです。プラスチックの構造物からなるアートに「生命」というコンセプトを与えるだけでこれほどわくわくするようなものができるとは!

人間原理って新手の妖怪なんじゃないか

そもそも妖怪とはなんでしょうか? そんなものが実際にいるわけが無い、妄想やファンタジーにすぎない、と大半の方が考えているでしょう。その通りです。妖怪とはその定義上「存在しないもの」なのです。しかし多くの民俗資料ではその妖怪があたかもいるかの…

筒井康隆の断筆は何を意味するのか

もはや忘れ去られた感のある筒井康隆の断筆事件ですが、語っておきます。この問題をスルーするのはありとあらゆる言論にとって致命的なんじゃないかと思いますよ。ことのはじまりは「無人警察」(「にぎやかな未来」収録)が国語の教科書に採用されたことで…

「こんなのSFじゃない!」という発言がいかにウザいか

「こんなのSFじゃない!」「じゃあ、どこからどこまでがSFなんだよ」というのは、不毛な会話の典型例です。そもそも「どこからどこまでがSFか」という考え方が不毛です。「どこからどこまでが文学か」と同じくらい不毛です。こういう無駄に深く掘り下げられ…

伊藤計劃の死と「ハーモニー」再考

伊藤計劃が死去した。もともと好きな作家top10に入るほど好きだったし、「虐殺器官」→「ハーモニー」という作品の発展性を見てもダントツで新作が楽しみな作家だった。つーか2007年デビューの新人だぞ。まだまだこれからって感じなのに。今日ほどザオリクが…

「人間が書けてる」という評論が嫌い

私は「人間が書けてる」という評論が嫌いです。え? 人間が書けてる? じゃあお前は「人間が読めてる」のかよとツッコミたくなってしまう。

現代SFで学ぶ相対主義

ものものしいタイトルですが内容はいたってふつうの現代思想です。2007年のSF界を代表する作品・伊藤計劃「虐殺器官」をネタにしてみました。「虐殺器官」をまだ読んでない人、また読んでもイマイチ楽しめなかった人のための思想的ガイドにもなっています。…

円城塔が難解な3つの理由

今もっとも注目しているSF作家・円城塔について。

センス・オブ・ワンダーの定義

SFの良さを語られるときによく使われる言葉NO.1が「センス・オブ・ワンダー」です。この曖昧な概念をちょっとここで整理しておきましょう。それと「書評とはこうあるべきだ」というなんちゃって批評論も展開します。

恋空やセカチューで泣ける人ほど優れている

美嘉「恋空」や片山恭一「世界の中心で、愛を叫ぶ」で感動したなんていうとネット界隈では人間扱いしてもらえないんですが、あえて言おう。 恋空やセカチューで泣ける人ほど素晴らしい、と。

自分探しゲームの誕生

「自分探し」が良いか悪いかはどうでもいいんです。「自分探し」がクソゲーか神ゲーかなんてぶっちゃけ興味ありません。おのおのが勝手に判断すればいいことです。でも、なぜこの「自分探し」が必要とされるのかについては興味があります。というわけでひと…

オカルトを駆逐しよう

量子力学は「どんな確率の低いことでも起こりうる」ということを証明してしまいました。また哲学的に考えても、ありとあらゆる一般法則は過去の観測結果から帰納的に導き出した仮説にすぎないから、どんな突飛な例外も存在しうる、と言えます。昨日までそう…

運命はクソゲー!?― 猫でもわかる多世界解釈

運命は存在するのか、もし存在するとすればそれはクソゲーではないか、という話。

コペンハーゲン解釈は間違い!?― 猫でもわかる「ウィグナーの友人」

「シュレディンガーの猫」と、それを発展させた「ウィグナーの友人」という思考実験について解説します。本当は、シュレディンガーの猫でもわかる「ウィグナーの友人」だったのですが、長すぎたんでこのタイトルに。 スティーヴン・バクスター「時間的無限大…

ドラえもんは実現可能か

ドラえもんみたいに、まるで人間のように考え、行動し、反応するロボットは原理的に作れるのか、という話。根本的に無理なのか、それとも努力次第では可能なのかを考察します。映画の予告編ばりにキャッチーに言うなら、ロボットに心はあるのか・ロボットは…

宇宙を決定しているのは人間だった!?― 猫でもわかる「ビットからイット」理論

情報工学の巨匠ジョン・ホイーラーが提唱したこの理論は、世界のありとあらゆるものは情報であり、その情報(bit)を観測することによって存在(it)が生まれる、というものです。まあ、これだけでは何を言っているのか全く分からないでしょう。あまりにも突飛す…

アンパンマンほど哲学的なアニメはない

「僕の顔を食べなよ」 これほど深遠な哲学を内包したセリフはないでしょう。

運命は存在するのか

要するに予め明日は決定しているのか、という話です。存在するかどうかは分からない、というのが結論ですが、小林泰三「脳髄工場」「予め決定されている明日」(「目を擦る女」収録) 、ロバート・J・ソウヤー「フラッシュフォワード」などの作品を読むと運…

人工ブラックホールはなぜ安全か

http://alfalfa.livedoor.biz/archives/51267073.html http://alfalfa.livedoor.biz/archives/51319515.html CERNの大型ハドロン加速器(LHC)は1週27キロメートルある円周を使って陽子を回転させ衝突させる機械です。なぜこんなことをやるのかというと、衝…

ホラーの源泉

昔は「角川ホラー文庫」が大好きで、手当たりしだい読み漁ったものです。しかし今はどうにもホラーに食傷気味です。そもそも面白いホラーの条件は何か、ホラーの源泉を考察します。「物語」を素直に楽しめなくなった、実に大人気ない人間による分析なので、…

不死は実現可能!?― 猫でもわかる塵理論

グレッグ・イーガン「順列都市」の解説。当然のごとくネタバレです。難解と評判な「塵理論」に挑みます。なにぶん学生なもんで、間違っている箇所が多々あるかと思います。そんなときは容赦なくコメント・トラックバックで批判してください。 長すぎて読めな…