国語入試問題必勝法 / 清水義範

表題作は、家庭教師が国語の入試におけるコツを教えるという話。実用的な必勝法では無いんですが、ある意味国語の入試問題自体が実用的とはほど遠いものなので、こういうのもアリでしょう。小説における解釈なんて多種多様であるべきなのに、それをひとつの正解に絞ろうするとどうしても無理が出ます。センターで使われた山田詠美の文章も作者の正解と模範解答が異なっていたらしいですし、そんなあやふやな正解を得るためにに四苦八苦しなくちゃいけないのは馬鹿らしい。とはいえ受験生なら避けて通れぬ道であり、誰もがこの種の胡乱さを自覚しつつも偏差値のために妥協しています。でもそんなのおかしいだろ! と突っ込む本書は痛快でした。*1

*1:論説文の読解と要約はまた別で、これはふつうに役に立ちます。また小説の読解も「どのように読むのが正解か」を探るゲームではなく、「出題者ならどのように考え、どのような答えを正解にするか」を探るメタゲームだと思えばいいのです。それに文章を読むそのこと自体が、読解力を高める面もあるので、国語入試にもいい点はあります。