リアルワールド / 桐野夏生

amazonのあらすじに「心の闇」なんていう犯罪の動機を説明する上で便利な言葉が使われていますが、実際はそんなわかりやすい悪役はいません。「絶対的な正義がいて絶対的な悪がいる。光と闇があるように」なんていう論理は虚構的です。じゃあ虚構的ではないリアルな世界はどうなのかというと、これは一口で説明できるような単純なものではなく、多くの言葉を費やしてやっとその断片を表現できるくらいに複雑です。その作業を行ったのが本書です。村上龍の暗い系の短編っぽいですね。