ヘル / 筒井康隆


最近の筒井康隆って老いとか死の話ばっかでちょっと疲れるよね、と改めて思うことになった長編。地獄を書いた作品なんですが、仏教的な地獄ではなく、「いやーマジで地獄だったよあの日は」と軽く愚痴るときの地獄に近いです。
これは要するに地獄の日常化、日常の地獄化ということらしいんですが、まあそんなに厭世的にならんでも……という気もします。あと文体が後半ずっと七五調になるんですが、このコストのかかった文章は読み応えがあってよかったです。