最後の伝令 / 筒井康隆



筒井康隆の中期の短編集。好きな作品が多く、個人的にはかなり満足のいく本でした。
小学生の日記風ファンタジー「北極王」、森林伐採について樹木自身が異議申し立てる「樹木 法廷に立つ」、異国の変わった生き物に出会ったときの感動が甦る「タマゴアゲハのいる里」、もしも人生が9回あったら……という「九死虫」、公衆トイレが少ない社会というネタでここまで書けるのかと感心した「公衆排尿協会」、細胞の擬人化「最後の伝令」、ギャグとホラーの融合「二度死んだ少年の記録」など、実に半数が良作です。