アラビアの夜の種族 / 古川日出男

ねっとりと絡みつくような文体で語られる冒険小説。この文体はだいぶ好みが割れそうですね。僕も最初は受け付けなくて、半年ぐらい放置していたのですが、2巻の後半くらいから一気に面白くなってくるので読破できました。一応、剣とか魔法とか出てくるわけですが、通常のファンタジーとは比較にならないくらい異形のフレーバーに満ちているので、ファンタジーというジャンルにくくってしまっていいものか疑問。古川さんの小説はわけのわからないところに異常な力量のこもったディティールが投下されていて、安易に消費することを許さない近寄りがたさがある。