ダイスをころがせ! / 真保裕一

金やコネがなくても選挙に勝てるのか? というストーリー。真保裕一は社会派エンタメ系作家の中ではかなり面白いです。「今の政治はクソだ」と言う人に限って選挙に無関心です。自分が投票しても何も変わらないと思っています。それはある意味正しいです。しかしそんなに今の政治がダメだと思っているんなら、自分が政治家になればいいんです。政治に絶望したんなら、自分が選挙に立候補して政治を変えてみればいいんです。「いやいや無理でしょ。だってコネも金もないし」。たしかに個人レベルのコネと金じゃ衆院選で当選するなんてことはまず不可能でしょう。でも本当に無理なのか? 本当にみんな今の政治家に満足しているのか? 

そういうわけで主人公たちの無謀ともいえる挑戦が始まります。とはいっても理想論を振りかざすだけでの青臭い内容ではありません。むしろ、周囲の無理解・敵陣営の妨害工作など、リアルな困難が盛りだくさんで政治というものの大変さが伝わってきました。まさに選挙版プロジェクトX。熱い作品を読みたい人は是非どうぞ。