幼年期の終わり / アーサー・C・クラーク

あんまり面白く無かったです。内容は宇宙人とのファーストコンタクトもの、かつ人類の進化の行く末を描いたスケールのでかいSFです。話のテーマを簡単に述べると「宇宙の真理なんて所詮人間にはわかんねぇよ!」ということですかね。この宇宙の真理である霊的な存在は人間の上位存在であるオーバーロードにも理解できない奴らです。もちろん読者にとっても理解できない謎存在なので、こいつが出てくるあたりはかなりの超展開となっています。必然的に、読者も置いてけぼりになりますが、むしろ置いてく気マンマンなんでしょう。ドラゴンボール天津飯の名言「チャオズは置いてきた、今回の戦いについていけそうにないからな」が思い出されます。
クラーク「読者は置いてきた、 宇宙の真理は理解できそうにないからな」

くそっこれがチャオズの気分か!

たしかに人類の進歩を純朴に信じる科学万能主義・人間至上主義というのはそれはそれで傲慢な態度なのでしょう。でも結局人間如きに分かんないよね、と諦めムード全開なのも困ります。というかSFっぽくない。同じ読者を置いてけぼりにするんなら、宇宙の真理を追い求めまくったグレッグ・イーガンの「ディアスポラ」みたいなのを私は支持します。
あと最後にどどーんと超展開をもってくるセカイ系っぽいというか、夢半ばにして終わる打ち切りマンガっぽいというか(というかそれらの元ネタなのかもしれないが)、作品が発表された当時はどうだったのかわかりませんが、類似の作品が溢れているこの現代ではあまり評価できません。SF史的な意義も分析するのは評論家に任せます。