コクリコ坂から

観てきましたよ。「耳をすませば」系ですね。舞台は東京オリンピック前の横浜で、この昭和の舞台がレトロな味わいを持っていることに驚きました。明治とか大正にはぁはぁするのはまだ分かります。かの時代はまぎれもなくレトロの良さを持っています。しかし昭和ですよ。あの唾棄すべき古臭い時代とされてきた昭和が、平成も20年を過ぎたこの現代において、ついに「古き良き時代」と認識されるようになっているのです。いやぁ、昭和やるじゃないか。

たとえばですね、学生たちがカルチェラタン取り壊しについて論争しているときなどの熱さとかは、まさに古き良き昭和ですね。学生運動などというものは絶滅しましたから、彼らのひたむきさは新鮮です。とくにマルクス主義者とおぼしき学生が「カルチェラタンを取り壊すことは歴史的必然」とか言い出した時は噴きました。この進歩史観、まさに時代の遺物って感じでいいです。
絵も目に優しくていいですね。「WALL-E」みたいに緻密な映像に驚くことはありませんでしたが、これぐらいの素朴さがちょうどいいんじゃないかと思います。