TAP / グレッグ・イーガン

究極の言語というものが、もしあるとするのならば、それはどんなものになるだろうか。それは「ことばでは言い表せない感動」とやらも、容赦なく言語化してしまうものになるだろう。人間が感じうるありとあらゆる感覚/情動、そのすべてのパターンを正確に言語のかたちに換言してしまうのだ。人間はほとんどの情報を体感するが、言語を通した情報だけは「体感を抜きにした認識」ができる。すばらしい風景の描写を読み、そのイメージに酔いしれることもできる一方で、その描写が言わんとしていることをただそのまま理解するという乾いた認識もできる。究極の言語を手にした人は、ありとあらゆる経験を正確に認識してしまうのだろう。しかしその正確性ゆえに誤解や誤読が一切できなくなってしまうのだから、今までなあなあでやってきたところができなくなってしまい困るかもしれない。
表題作はいつものイーガンです。安心の面白さ。似たような話では長谷敏司「あなたのための物語」がオススメです。 他の短編で面白かったのはゲーテッドタウン遺伝子版の「要塞」、死を思弁によってごまかそうとした「森の奥」。「銀炎」は世界に過剰に意味を見いだそうとするスピリチュアルな人たちと冷徹に向き合う話。悪くはないけど「トンデモ本の世界」みたいにネタにして笑えるくらいにしたほうが、啓蒙的にはいいと個人的には思う。「散骨」・「自警団」といったホラーはぜんぜん合わなかった。やっぱりSFだけ読んでいたいな。「ユージーン」についてはイーガンスレから改変ネタを引用しておきます。笑った。

5 :名無しは無慈悲な夜の女王[sage]:2009/09/26(土) 10:08:05


ヤバイ。ユージーン、ヤバイ。まじでヤバイよ、マジヤバイ。
ユージーンヤバイ。
まず、天才。もう天才なんてもんじゃない。超天才。
天才とかっても
アインシュタイン、3カートンぶんくらい?」
とか、もう、そういうレベルじゃない。
何しろまだ生れてないの。生死を超越してる。存在してないにも関わらず超天才。
しかも、これからも存在しないらしい。ヤバイよ。過去も現在も未来も関係ないよ。
だって、普通は生れてないと何も出来ないじゃん。だって、生れてもいないのに親のスネをかじれないじゃん。生れてもいない子供がニートとか困るっしょ。
子供が欲しいなと思って医者に相談しただけで、生んでもいない子供に、貯金全額使い込まれてるとか泣くっしょ。
だから普通のニートは生きて金をせびる。話のわかるニートだ。

けどユージーンはヤバイ。そんなの気にしない。親の金使い込みまくり。しかも、金の使い道が自分の存在可能性を排除するため。ヤバすぎ。
存在しないって言ったけど、存在しなくても自らの意思で過去に影響を与える、そんで自分が決して生れないように操作する。
「じゃあ、一体、どこが起点なのよ?」
って事になるけど、それは多分作者にもわからない。ヤバイ。イーガンにもわからないなんて凄すぎる。

それに超引き篭もり。超空気。超涅槃。実存しなくちゃならない理由が見つからないとか平気で言い出す。
実存から引き篭もるって。どんだけヒッキーなんだよ。

なんつってもユージーンは、やる気が無い、存在しなくても平気だし。
うちらなんて、ダルくなったらネットとか見たり、おやつ食べたりするのに、
ユージーンは全然平気。そもそも永劫に存在しない。凄い。ヤバイ。

とにかく貴様ら、ユージーンのヤバさをもっと知るべきだと思います。
そんなヤバイユージーンを生み出したクック先生とか超偉い。
無かったことにされてるけどがんばれ。超がんばれ。