2020年、日本が破綻する日 / 小黒一正

政府の借金が1000兆円、家計の貯蓄は1400兆円なので、日本経済が持っている国債の買い余力(政府の借金の買い手となれる能力)は400兆円分あります。で、毎年だいたい40兆円ぐらい政府の借金は増えていっているので、400÷40 = 10で、残り10年ほどすると、政府の借金の買い手が国内に見当たらなくなります。そうすると海外で買ってもらわなくてはならなくなり、今の低い利率じゃとても売れないので、金利を引き上げることになります。そうすると低い利率のときに発行された国債の価格が暴落して、国債を大量に持ってる金融機関は大損こきます。これはさすがにまずいというわけで、増税したり経済成長による税収アップによって、なんとか政府の借金を減らそうということになっているわけです。
じゃあ、そもそもなんで毎年40兆円も借金しなきゃいけないのか、ということですが、主にこれは社会保障費の支払いが原因です。へーでも意味不明の公共事業とかじゃないし、福祉国家なんだから別にいいんじゃね? という意見もあるかもしれません。が、福祉の恩恵を受ける層が偏っているので問題があります。社会保障というのは、体が弱って働けない老人に現役世代が仕送りしてあげるシステムなので、老人は得をして若者が損をする不公平さがあるのです。
いやいや、多数派の老人が少数派の若者よりも優遇されてるっていっても、多数派の意見を「正しい」ことにして、えいやってやるのが民主制でしょ、今の老人を養うために将来世代に負担を残すのも、民主的な手続きを得た国民の選択なんですよ、という反論もあるでしょう。しかし、この世代間格差は、老人を含めた経済全体に悪影響を及ぼす可能性があるので、やはり正当化できなさそうなのです。

世代間格差が拡大するほど、経済成長率が低下していく傾向があるのだ。これは、社会保障の暗黙の債務を含む公的債務が増加し、世代間格差が拡大していくと、若い世代の消費や貯蓄の低下などを通じて、民間の経済活動を阻害し、将来の経済成長を低下させてしまうからである。逆にいうと、これは、世代間格差を改善すれば経済成長が高まる可能性を意味する。*1

というわけで、世代間格差をなくす方向でいくのが正義なんじゃないでしょうか。僕個人は20代なので、国債発行(将来の増税)よりも消費税増税(現在の増税)のほうが老人世代にも負担してもらえて、幾分マシです。

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