コズミック―世紀末探偵神話 / 清涼院流水

清涼院流水のデビュー作。『今年、1200個の密室で、1200人が殺される。誰にも止めることはできない』―1994年が始まったまさにその瞬間、前代未聞の犯罪予告状が、「密室卿」を名のる正体不明の人物によって送りつけられた―――というストーリー。1年間―365日で1200人を殺そうと思えば、一日に最低3人は殺さねばならないわけで、なんていう馬鹿らしい設定だ! と思いつつ読みましたが、内容も馬鹿らしいです。最初の6日の間に行われる19件の密室殺人事件が延々と続くというだけ。
文章も薄っぺらいです。特に思想的な内容のところはポエム臭がひどく読んでいるこっちが恥ずかしくなります。あとルビの振り方も性に合いません。「精神外傷(トラウマ)」ぐらいならまだいいんですが「ひたすらその繰り返し(エンドレス・ループ)」、「少年時代(ボーイズ・ライフ)」、「純な恋(ピュア・ハート)」ってどこのJ-POPですか。意味も無く多用しすぎです。(あとこれは続編「ジョーカー」ですが「四重の含意(フォース・ミーニング)」は「四重の含意(クアドラプル・ミーニング)」でしょう。)
―――以上が、「コズミック」の前半部分『コズミック 流』を読み終えた時点での感想です。著者によれば清涼in流水の順番で読むのがいいということでしたので、『コズミック 流』 → 『ジョーカー 清』 → 『ジョーカー 涼』 → 『コズミック 水』の順番で読むことにしました。コズミックの総評は続編「ジョーカー」のレビューで書いたのでどうぞ。