パラサイト・イヴ / 瀬名秀明

瀬名秀明出世作。映画にゲームとメディアミックスがすごかった作品で、バイオホラーブームの火付け役なんじゃないでしょうか。評価されているだけあってやっぱり面白いですね。専門知識がふんだんに盛り込まれており、作品を分断しかねない勢いですが、ハードSFになれている人なら大丈夫でしょう。専門知識を詰め込みすぎて若干読みにくくなった貴志祐介、あるいは毒のぬけた小林泰三ってところです。似た作品として、梅原克文「二重螺旋の悪魔」グレッグ・イーガン「ミトコンドリア・イヴ」(「祈りの海」収録)もあわせて読むといいですよ。
以下少しだけネタバレ。
ミトコンドリアの方がDNAの10倍突然変異しやすいから人間の10倍進化していつか反乱を起こす、というのがストーリーの根幹ですが、今考えるとちょっと無理があるなあ。知性を発達させる方向に淘汰する要因が無い気がするし、せっかく知性を持ってやることといったら宿主を殺すっていう自殺行為なわけだから、なにがしたいんだお前はって感じですよ。まあ楽しく読めたので満足です。