平凡なサラリーマンの主人公に、中学校の同級生だった女性(ヤンデレ)がストーカーとして襲い掛かるというストーリーです。まあ、それなりに面白かったです。設定も文体も陳腐なんですが、テンポよく読ませる力は抜群ですね。ただちょっと不満なのは狂気に蝕まれる側の描写がほとんどなく、人間の狂気があんまり伝わってこなかったところです。変質者に殺された被害者のニュースを見たときと同程度の共感・恐怖しか感じることができませんでした。ああ、世の中には恐い人もいるなあ、と。せっかくの小説なんですから、もっとその恐さをつきつめてもいいんじゃないかと思います。まあ、運悪く変人につきまとわれて災難……というパニック小説だから仕方ないのかもしれませんが。
この作家についてはいろいろ言いたいことがあるので続きをどうぞ。