バイアウト / 真山仁

「ハゲタカ」の続編。前作では非上場会社の経営権をいかに握るかというディールが中心だったのですが、今度は上場会社がターゲットです。当然、敵対的TOBのような株式市場を舞台にした戦いになってくるので、会社法学習者にとっては前作よりも面白いかもしれません。カネボウ富士通といった大企業が元ネタになっているのでその辺もとっつきやすいかも。
(ちなみにカネボウ再建に実際に関わった冨山和彦「カイシャ維新」はわりとためになる本です。)
ただトレンディドラマ的な「どや?カッコいいだろ?」と言わんばかりのシーンの多さにはちょっと辟易としました。経済小説ってなんでこういうの多いんだろう。でもドリームチームが結成される熱い展開には感動しました。
あと芝野がいいですね。僕もメガバン受けてたんで、こういう仕事のできるバンカーって憧れますね。作中で一番正義感の強い、青臭い人間なんですが、その分だけいろいろ踏んだり蹴ったりな目にあってます。しかし現実に翻弄されながらも、なんだかんだ前に進んでいるので、素直にこういう姿勢は見習いたいなあって思います。
ネタバレになりますが、最初の人死にシーンって要るんだろうか。このおかげでやたらとサスペンス色が強くなって買収の駆け引きも荒唐無稽になってしまっている気がする。オチもついていないような……。