フーコー入門 / 中山元

自明のものとされている概念がどのような政治的歴史的な経緯の中で成立してきたか、その過程を探ることで何気ない生活がいかに、特殊な権力的地位にあるかを明らかにする。フーコーの面白さはこの点にあると思う。時代の空気みたいなものによって思考の枠というものは制限されてしまい、一人一人がよかれと思ってやってることなのに傍から見るとなんとも抑圧的な権力の行使がなされていることがある。狂気が精神病に変わった経緯の考察はまさにフーコーならでは、という感銘を受けた。フーコーの思想を読むと傍観者ではいられなくなる。権力を行使する側かされる側か、常に問われるような緊張感がある。