若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? / 森川友義

「若者の投票率は低い」+「社会保障制度によって老人は1500万円の得をして、若者は2500万円の損をしている」→「若者は、選挙に行かないせいで、4000万円も損してる」
っておい。そんな簡単に決め付けていいんだろうか。「有権者はみな利己的で自分のことしか考えていない、だから老人は自分たちに都合のいい政策を支持して若者を食い物にしている」ってことなんだろうけど、そうした主張が成り立つためには「若者は、若者を優遇して老人にやさしくない政策を支持する」という事実が必要だ。けど、実証的にはどうも違うらしい。*1
常識的に考えて、若者だからといって高齢者向け福祉なんかどうでもいいと思っているわけではなく、両親や祖父・祖母のことを考えて高齢者向け福祉の拡充を望む人は多いだろう。自分で介護したいって人なら話は別だけど、大半の人は介護保険でなんとかしてもらいたいと思っているのではないか。
また、今の若者は、老人が高度経済成長を実現してきた恩恵を少なからず受けているわけで、この便利になった世の中のコストが2500万円だと思えば、それほど問題でもない気がする。まあ人によるだろうけど。

*1:カプラン「選挙の経済学」283p 2009年