バカヤロー経済学 / 高橋洋一・竹内薫

2009年の衆院選はこの本を読んでみんなの党に入れることを決めたのですが、いま読み返してもまったく現状分析として正確で、いかに民主党が何もしなかったかが確認できました。民主党マニフェストでかかげた政策は、一言でまとめると所得移転の変更でした。結局「誰かから奪い、別の誰かに与える」というゼロサムゲームのやり方をちょっと変えるだけです。それがいかに国民の人気であろうとも、これでは経済成長(純粋なパイの増加)は不可能です。問題にすべきなのは「誰から奪うか」とかではなくて全体のパイをいかに増やすかです。そのためには規制緩和・競争促進しかないわけですよ。実際にマニフェストを比較してみます。

民主党政策INDEX2009

  • 月額2万6000円(年額31万2000円)の「子ども手当
  • 給付付き税額控除(負の所得税
  • 納税と社会保障給付に共通の番号制度
  • 中央省庁による国家公務員の再就職あっせんを禁止・定年を65歳まで延長
  • 国家公務員の定数削減・国家公務員総人件費を2割以上削減
  • 独立行政法人民営化
  • 教育への公財政支出(GDP比3.4%)を、先進国の平均的水準以上を目標(同5.0%以上)として引き上げ
  • 幼児期および高等教育において無償教育
  • 公立高校の授業料は無料化、私立高校などの通学者にも授業料を補助(年12万〜24万円程度)
  • 介護事業者に対する介護報酬を7%加算し、介護労働者の賃金を月4万円程度引き上げ
  • 生活保護の引き下げせず、母子加算を復活
  • 年金一元化・「所得が同じなら、同じ保険料負担」納めた保険料を基に受給額を計算する「所得比例年金」創設
  • 消費税を財源とする「最低保障年金」(7万円)創設
  • 若者の雇用就労支援(民間企業での職業訓練
  • 解雇予告手当社会保険が十分適用されない2カ月以下の雇用契約について労働者派遣を禁止
  • 日雇い派遣」「スポット派遣」(派遣会社が派遣先企業に労働者を1日単位または30日未満の雇用契約を結んで派遣)の禁止
  • 最低賃金を全国平均1000円まで引き上げ
  • 失業給付が終了した人や、自営業を廃業した人に、職業能力訓練を受けた日数に応じて能力開発手当を支給
  • 農業者戸別所得補償制度の導入(畜産・酪農・漁業も同様)
  • 世界貿易機関WTO)における貿易自由化協議や各国との自由貿易協定(FTA)締結の促進
  • エネルギー自給率目標を2030年に30%、2100年には50%に設定
  • 高速道路の無料化
  • 地球温暖化対策(2020年までに1990年比25%、2050年までに60%超の温室効果ガス排出量削減)
  • 国内排出量取引市場の創設
  • 地球温暖化対策税の導入


青字で引用したのは全部再分配政策です。全体のパイを増やす、そのために競争を促進させるという視点がまったくないですね。さすがです。たいしてみんなの党はどうでしょうか。

みんなの党 政権公約

  • 公務員の「年功序列賃金」を見直し。給与カットを可能に。
  • 公務員に労働基本権を与え、代わりに身分保障をはずし民間並みのリストラを実施。
  • 産業構造を従来型から高付加価値型へ転換。ヒト、モノといった生産要素を、予算、税制等でバイオ、エレクトロニクス、新素材、環境、エネルギー等の将来成長分野へシフト。
  • 一方で、地域密着型(地場)産業(医療・介護、福祉、子育て、家事支援、教育、農業等)を規制改革、税制等で創出。また、地域を支える中小企業の活性化、競争力向上を支援するため、「中小企業憲章」及びそれに基づく「中小企業条例」を制定。
  • 物価安定目標を設定し、危機脱出後の成長軌道を確保。
  • 原則として全ての労働者(非正規を含む)に雇用保険を適用。
  • 同一労働同一待遇(賃金等)や正規・非正規社員間の流動性を確保。
  • 生活保護制度の不備・不公平、年金制度との不整合等の問題を段階的に解消し、最終的には、基礎年金や生活保護を統合した「ミニマムインカム」(ベーシックインカム)を導入。

規制緩和がちゃんと盛り込まれています。さすがです。