イン ザ・ミソスープ / 村上龍

社会のマイノリティを描くのは村上龍の十八番……というわけで、今回は猟奇殺人を描いてみたよ! なんて軽い紹介であえて済ましたくなるほど、いやーな感じのする小説でした。殺人犯の異常性というのは、とりあえず殺人が起きないと話にならないミステリでは定番となったネタですが、村上龍の筆力でやるとこうも圧迫感が増すのか。強烈な異物感。というか、「いや……、お前がここにいるのはおかしいだろ!」という気持ちにさせられます。恐怖というよりも、なにか自分たちのフィールドに土足で踏み込まれていくような、苦々しさを感じるのです。面白い小説とはいえませんが、なぜか心に残る小説でした。