スプートニクの恋人 / 村上春樹

スプートニクが出てくる必要ないんじゃないかっていうぐらい作品が読めなかったです。難読ではないんですが難解です。エイリアンの生態系を観察してるような不可解さがあります。しかもこういった作品が世界的に売れているという事実が恐ろしい。下手なホラーよりよっぽど怖いです。エイリアン語で何か言わなくては正体がばれて殺されてしまうんじゃないか、という恐怖にびくびくしてしまいます。「恋人の喪失という虚無感が宇宙という漆黒の闇の中で孤独に佇む人工衛星と重ね合わせてあり、幻想的な世界観との相乗効果で現代を生きる人間の絶望と希望が巧みに表現されている」。もはや自分でも何を言っているか分かりません。

―――はあ。村上春樹好きな人にぶん殴られそうですね。でも、実はこれ、村上春樹が仕掛けた壮大なボケなんじゃないかと思うのです。たいした内容も無いのになんとなく意味ありげな感じに仕上げて、みんながみんな深読みしてああでもないこうでもないと喧々諤々の議論を繰り広げるのを楽しんでいるんじゃないか。フハハ!意味などない!意味などないのじゃ! と、不毛な文学論争を影でこっそりネタにして冷笑してるんじゃないか、と邪推してしまいます。このボケに対してやるべきことはひとつ、意味不明やねん!というツッコミでしょう。それでこそボケは救われます。うん。ひどい村上春樹論もあったものだ。ごめんなさい。