ヨコハマ買い出し紀行

文明が衰退した後の世界って、SFでもよくあるテーマなんですが、未来を描いているはずなのに胸にあふれるのはノスタルジーで、なんか不思議ですな。たしかに科学技術の面でいえば、この世界も十分に未来なんです。だけど人口減のせいで、文明的な社会が成立しないため、古きよきムラ社会が復活しています。都会都会したSFのほうが好きなんですが、こういう、田舎田舎したSFもいいですね。全巻一気読みしたんですが、最初のほうはそれほど面白くなかったのに、徐々に心の容器に郷愁が満たされていって最後はとてもいい気分になりました。田中ロミオ「人類は衰退しました」とか「蟲師」とか、あの辺の雰囲気極上エンタメのたぐいです。