注文の多い料理店 / 宮沢賢治

いまさら宮沢賢治かよって気もしますが、なんとなくレビューを書いてみたくなりました。この短編集で一番面白かったのは「醜いアヒルの子」の無機物バージョン「気のいい火山弾」青空文庫なんでタダで読めます。 



私という現象は仮定された有機交流電燈のひとつの青い照明です
宮沢賢治春と修羅

童話といえばやっぱり話の面白さ・前振りとオチの落差が魅力なんでしょうが、宮沢賢治の強みはむしろこの文体にあるんじゃないだろうか。一語一語を綴るその思考回路があまりにも異質で、一文にこめられたファンタジー含有量が半端じゃない。その濃さは昆布やスルメにも匹敵します。「詩情豊な」という表現はよく聞きますが、そういう詩的な美学がイマイチよくわからない私でも、美しいと感じました。