チーズはどこへ消えた? / スペンサー・ジョンソン

何年か前に世界的なベストセラーとなった自己啓発本です。大切なものが消えるという変化にたいして、どのように人々が行動するのかというストーリー。要するに「変化を受け入れろ」という寓話なんですが、わかる人には「何を当たり前のことを言っているんだ」と一蹴されるだろうし、わからない人には「おお、そうなのか」となんとなく賢くなった気分にさせるだけだと思います。要するに、正しいけど当たり前のことであり、わざわざ頭を働かせなくてもわかる無償の真理なのです。


役に立たないとは言いませんが、せいぜい漫画喫茶にタダでついてくるドリンクバー程度にしか、役に立ちません。「ジュース奢ってやるよ」と言われてそれが漫画喫茶のドリンクバーだったら興ざめじゃないですか? いや、それ別にタダじゃん……奢るとかそういうのじゃないし……みたいな。具体案が必要なのに抽象的な教訓を語られても仕方ないのです。抽象論だけならその辺の学生だってやってますよ。*1
まあ、この手の啓蒙書は巷に腐るほどあふれていますし、この本だけを糾弾するのはフェアじゃありません。むしろ本書はマシな部類ですよ。

*1:このブログのことです。