九百人のお祖母さん / R・A・ラファティ

きわめて乱暴に言うと、SFのアプローチは主に2通りです。過程を重視するか、結果を重視するか。小松左京は「どうしてそうなるか」を重視し、筒井康隆は「もしそうなったらどんなに面白いか」を重視する。とすれば、R・A・ラファティはまぎれもなく筒井康隆側の作家です。こういう愚にもつかないバカ話は楽しんだもん勝ちな部分があって、理屈をこねまわしても疲れるだけです。何も考えたくない時、かといって静かに落ち着く気分でもない時、この本を読んで頭の中をめくるめく喧騒と馬鹿馬鹿しいイメージで満たしてみるのもオツかもしれません。21篇もの短編があるので、どれか2,3個はツボにはまる話があるでしょう。

  • 「スナッフルズ」:一番のお気に入り。わけのわからない異形の生物に追われる恐怖がたまりません。
  • 「一期一宴」:生活サイクルの高速化がもたらした、疾走感のあるドタバタ。
  • 「カミロイ人の初等教育」:この大ぼら吹きが!
  • 「カミロイ人の行政組織と慣習」:同上。
  • 「われらかくシャルルマーニュを悩ませり」:過去改変もの。志村ー後ろ!後ろ! と叫びたくなるようなネタ。ドリフですか。
  • 「その町の名は?」:オチが全て。
  • 「時の六本指」:筒井康隆の「お助け」と同じネタ。

まあ、翻訳なのでところどころ読みにくいところもあり、筒井康隆の方がオススメです。筒井さんはもう全部読んだから、という方なら試してみるといいかも。