記憶破断者 / 小林泰三

面白かった。他人の記憶を自由に操れる超能力者と、記憶が数十分しか持たない一般人が戦うというもので、どう足掻いても勝ち目がないがゆえに、この状況をどうひっくり返すかに非常にワクワクさせられた。JOJOスタンド使いしかり、普通こういうバトルものだと、こちら側もある程度特殊能力を持っているわけなんですが、そういうのは全くない。むしろ記憶障害で、自分の記憶を残すために常にノートに起こった出来事を書き続けないといけないというハンデを背負っている。まあ、設定だけですでに面白い状態ですな。エピローグは賛否両論あると思いますが、作品全体として、主人公の障害の強みと弱みの双方を書ききっていると考えると、納得できるのでは。関連作としては「忌憶」「モザイク事件帳」があります。