ランドスケープと夏の定理 / 高島雄哉

創元SF短編賞受賞作。著者は、東大の理学部物理学科卒で東京芸大美術学部芸術学科卒で主夫という謎キャリア。テーマは、どんなに異なる知性同士でも、完全な辞書さえあれば会話が成立するかどうか、というもの。すなわち、昆虫と意思疎通できないのは、単純に昆虫の言語がわからないだけなのか、それとも、そのような翻訳を可能にする辞書がそもそも存在しないのか、という話。大変興味深い論点で、これが作品の構成とぴったり合致しているかはともかく、面白かった。「風牙」より好きですよ。