凹村戦争

田舎で退屈な凡人ライフを過ごしていた少年に突如襲いかかる謎の侵略、こうした非日常的なイベントは少年を英雄へと変えるのがお約束なのだが、このマンガではそんなの作者が許さない。ではどうなるかというと、別にどうにもならず、少年はやり場のない鬱憤をたまらせるだけなので、物語としてはまったく盛り上がらない。しかし、戦争が起こっているにも関わらず白けきっているこの空気は、なにか心をくすぐるものがある。凹伴と凹坂の「楽しーい!」シーンなんか、どんな非日常が起きても冷めた空気はどうしようもないという、絶望を感じさせる。起きているイベントも非日常的だし、人物の造形もデフォルメされているが、日常に蔓延するある種の空気を抽出することに成功した変なマンガです。