インストール / 綿矢りさ

綿矢りさのデビュー作。女子高生と小学生が風俗チャットでひと儲けする話。あまり面白くはないですが、著者自身が若くてかわいい女の子ってところに価値を見出す人は多いでしょう。そりゃあ冴えないおっさんが書いた本よりもうれしいことにはうれしいですが、だからどうしたって感じです。作品と作者を完全に分けて考えるべきとは言いません。作者がその問題を知るために取材をしまくっていたり、作者自身が当事者だったりするなら、作品自体の出来とは別に、あーそう云われるとリアルな気がするなあ、と付加価値がつくでしょう。とはいえアイドル人気みたいのはちょっと……と素朴な抵抗を感じます。本もひとつの商品ですから文学がなんだなどと堅苦しく考えずに、多角的に付加価値を与えなくてはいけないのでしょうが、どうにも保守的になってしまうのは私だけではないはず。